被災地でも人材不足「心配で訪問はしたいけど、収入につながらない」苦悩するケアマネたち
能登半島地震の発生から、2か月になるのを前に避難先から自宅に戻る人も徐々に増えています。「住み慣れた家に戻りたい」という思いは、介護を必要とする人も同じですが、そのサポートをするケアマネージャーの人手が足りないなど、被災地ゆえの課題もあります。 【写真を見る】被災地でも人材不足「心配で訪問はしたいけど、収入につながらない」苦悩するケアマネたち ケアマネージャーの宇正正子さんは「使命感。みんなが困ってるときに自分たちが頑張らんと…」と話します。 石川県能登町の特別養護老人ホームでケアマネージャーとして働く宇正正子さんは、珠洲市の自宅が被災しながらも発災後、1人で利用者の安否確認にあたりました。 宇正さん「ここに残りたいと思った人が残れないと思うと…みんな被災してるけど、ここを出たら利用者と笑顔で」 ■2カ月ぶりの再会…「帰ってきたくて帰ってきたくてどうしようもなかった」 ケアマネージャーは介護を必要とする人が適切なサービスを受けるためのサポートを行います。ケアプランの作成や介護サービスの情報提供、自治体・事業者との連絡調整などが主な業務です。 宇正さんたちは27日、千葉県に住む娘の勤務先の施設に身を寄せていた濱中さんの話を聞きに能登町宇出津の自宅を訪れました。2か月ぶりの再会です。 宇正さん「こんにちは~元気やった?」 夫の増雄さん(79)は、2年前から、筋肉がやせて力がなくなっていく難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を患っていて、要介護5と認定されてます。妻のさち子さんは「帰ってきたくて帰ってきたくてどうしようもなかった」と話します。 宇正さんは、さち子さんに「自分でがんばろうっていうのもあれやけど、ちょっと助けてっていうときは言って」と声をかけていました。 ■「収入につながらない」人材確保が課題 県の長寿社会課によりますと、県内のケアマネージャーの登録数は3189人。一方で介護を必要とする人はおよそ6万800人で需要が供給に追い付いていないのが現状です。地震が起きた当時について、同僚のケアマネージャーの橋爪香織さんは「能登町当目という地区にいて孤立。ヘリで救助された」と話します。
自宅が倒壊した職員も多く、この施設でもケアマネージャーが1人退職したといいます。さらにケアマネージャーの収入が少なく、いかに人材を確保していくか今後の大きな課題です。 宇正さんは「いまの介護保険法では利用者がサービスを利用しないとケアマネの収入にならない。心配で訪問はしたいけど、収入につながらないのが課題」と訴えています。
北陸放送