紅麹被害、「プベルル酸」含有の可能性と小林製薬-死者5人に
(ブルームバーグ): 紅麴(こうじ)原料を含むサプリメント「紅こうじコレステヘルプ」などを摂取した消費者の健康被害が相次いでいる問題で、販売元の小林製薬は29日、製造時に意図せず含まれていた物質が「プベルル酸」の可能性があると明らかにした。
紅こうじ原料を使った小林製薬の製品を巡っては28日時点で、摂取歴のある5人の消費者が死亡、のべ114人が入院していたことが明らかになっている。小林製薬は摂取と死亡の「因果関係を確認中」としているが、22日に一部の原料に意図しない成分が含まれているとして、同サプリを含む5つの商品の自主回収を発表するとともに、使用中止を呼びかけていた。
同社は29日開いた会見で、当初は意図しない成分について、「形は見えてきた」として今後は国の研究機関にデータ提供して解明急ぐとしていると説明していた。その後、記者の問いかけに対して、「プベルル酸」である可能性があると、厚生労働省に報告したと明らかにした。
厚生労働省食品監視安全課の担当者はプベルル酸について、一般論として、毒性がある報告があるが、それが直接原因となったのかはこれから研究するとブルームバーグの電話取材に話した。紅こうじの製造過程で発生するものではなく、青カビから作られるものだという。
小林社長は会見の冒頭で「社会問題にまで発展し、深くおわびする」と謝罪。申し出があった消費者約680人には治療費などを補償するという。
信頼性保証本部長の渡辺淳執行役員は問い合わせの電話回線は順次拡充しており、4月4日には280回線まで増やすと説明した。同社は1月15日に最初の症例報告を受けたとしており、公表が遅いとの指摘に対しては、小林社長は「真摯(しんし)に向き合って検証する」と釈明した。
台湾でも被害
紅こうじ原料は他社にも販売されており、影響が広がっている。ファミリーマートは28日に弁当など3商品を自主回収すると発表。厚労省は小林製薬が直接原料を販売した52社、その52社から原料の供給を受けた173社を公表した。