「犯人という認定は動かない」間接証拠を総合的に判断…妻殺害の元長野県議に懲役19年判決
これらの間接証拠を踏まえ「位置づけや意味合いが判然としない事実関係もあるが被告が犯人という認定は動かない」と結論づけた。
丸山被告の弁護団は閉廷後、記者会見を開いた。判決の言い渡しを終え丸山被告は「ショックを受けている」とコメントしたといい、弁護団は年内に控訴する方針を明らかにした。
地裁総務課によると、この日の公判には傍聴券38枚に対して、337人の傍聴希望者が列をなした。
認定基準「評価分かれる」…識者
元裁判官で法政大の水野智幸教授(刑事法)は、この日の判決について「裁判員は相当難しい判断だっただろう」と指摘する。四つのテーマごとに評価された間接証拠はそれぞれ強弱があり、地裁判決が示すように「単体では評価しにくいものだ」と指摘した。
判決では、現場に残された足跡と丸山被告がかつて所有していたテニスシューズの靴底が一致するとした検察側の主張に対して「被告のテニスシューズと同一とまでは認められない」と評価するなど、判然としない間接証拠もあった。
最高裁は2010年の判例で、間接証拠による有罪認定について「被告が犯人でなければ合理的に説明できない事実が含まれていることが必要」との基準を示している。水野教授は、これを引用し、今回の判決について「この基準に沿った場合に評価は分かれるだろう」と指摘。弁護側が控訴の意向を示していることに触れ「控訴審でこのような認定が許容されるかは注目している」としている。