（写真：ダ・ヴィンチWeb）

　大好きな恋人と共に死んでしまった夜、時間が10年前に戻った。17歳の少女オリアナは、雷の鳴る大雨の日に恋人と共に死んだ。外傷も病気もなかった二人が、なぜ死んでしまったのか。そして、オリアナはなぜ過去に戻ってきたのか。『死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから（※ただし好感度はゼロ）』（白川蟻ん：漫画、六つ花えいこ：原作、秋鹿ユギリ：キャラクター原案/KADOKAWA）は切なく、辛い運命に立ち向かう少女のストーリーだ。 【漫画】本編を読む

　7歳の姿に戻ったオリアナは、過去の記憶を全て持っていた。もう一度自分の人生を過ごしていると気づいた彼女は、恋人ヴィンスを死から守ることを決意した。5年後、オリアナはもう一度ラーゲン魔法学校に通うことになる。 　そこで再会したヴィンスに思わず抱きつくが、彼には1度目の人生の記憶がなかった。しかし、オリアナは彼を死なせないよう、彼のそばに居続けようとする。死んだ原因がわからない以上、脅威が何かもわからない。そして、願わくは、もう一度好きになってもらいたい。そんな切ない思いを抱きつつ、運命に立ち向かうオリアナが描かれている。 　本作は、「次にくるライトノベル大賞2021」にノミネートされた同名作品のコミカライズである。非常に美しいイラストで描かれ、世界観に引き込まれてしまうだろう。 　ヴィンスが亡くなってしまうタイムリミットが迫る中、オリアナはどう彼に近づくのか、どう彼を救うのか…？ いかにして彼を救うのかの部分においてはミステリー要素も含まれ、死に至った原因を探り、その原因を排除しようと必死になる姿もグッとくる。 　また、序盤には1度目の人生でヴィンスが亡くなり、オリアナが慌てる様子が描かれている。そのシーンでは、オリアナも咳き込み、倒れてしまう。助けを求め、手を伸ばす先にある何者かの姿。その手を握った瞬間に2度目の人生に戻るのだ。その手は一体誰のものなのか――。 　甘く切ない恋やミステリー、運命に立ち向かう姿が好きな方におすすめの作品である。 文＝ネゴト / 森ソタカ