主人公を取り囲む大量の犬たちがいとおし過ぎて、バイオレンス映画の恐怖よりもトキメキが勝ってしまう。裏切られ続け、愛を諦めた哀れな男が、決して自分を裏切らない犬たちと共に、不幸から抜け出そうともがいた結果、「ドッグマン」というダークヒーローとして君臨するのだが、彼もまた、愛くるしい。 【写真】仲間由紀恵さんと「TRICK」堤幸彦監督が再びタッグ 　ドッグマンいわく、犬たちは彼の言葉を全て理解した上で、考えて行動しているという。その証拠に、下半身不随のドッグマンがケーキを作ろうとすれば、必要な材料を彼の手元へ運び、生活に資金が必要だと思えば、連携プレイを駆使して空き巣に入る。そんな彼らが手を組んで、悪いやつを徹底的にやっつける。 　リュック・ベッソン監督最新作は、「レオン」のダークな香りを放ちつつも、パワフルさに磨きがかかり、悲しみを吹き飛ばしてくれる。 （桜坂劇場・下地久美子） ◇同劇場で8日から