<一貫の春>センバツ・広島新庄 支える人たち/6止 経験、今に伝えたい 元応援団長・川口大貴さん(22) /広島
2015年夏、甲子園のグラウンドで躍動するチームメートをアルプススタンドから鼓舞し続けた。チームが勝つ喜びも、プレーできない悔しさも知る頼もしいOBがこの春、社会科教諭として広島新庄に戻ってくる。当時3年で応援団長を務めた、広島経済大4年の川口大貴さん(22)。硬式野球部ではコーチに就く予定で、2月からは練習にも参加している。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 「応援団長を務めたことで、ベンチ入りメンバーに加え、メンバーに入れなかった人の思いにも触れることができた。その経験が今の選手に生かされるのならとても幸せです」 背番号をもらえなかったあの夏、リーダーシップを発揮する場を求めて応援団長になった。各所との打ち合わせを重ね、卒業生を通じて紹介してもらった法政大応援団の指導を受け、アルプスに陣取った生徒らの応援をけん引した。「応援が力になった」。試合後にかけられたベンチ入りメンバーの言葉に「自分たちの応援が届いたんだ」と感じた。 そんな経験を、今のチームにも伝えたい。技術的に優れた選手もいれば、声を出して味方を奮い立たせる選手もいる。選手たちに寄り添い、どうすればうまくなるのか、何をすることでチームに貢献できるのか、ともに悩みたい。自身が高校の3年間で得た「野球だけではなく、その後の人生でも財産となるような経験」をしてもらいたいと考えている。 誰彼に言われるでもなく主体的に練習し、チームワークが良い。自分がプレーした頃と今のチームには、共通点があると感じる。開幕まで3週間を切ったセンバツに向け、後輩たちに「伸び伸びと思い切って、今までやってきたことを思い出しながらプレーして欲しい」とエールを送った。【手呂内朱梨】=おわり