交渉過程を明かした大谷翔平も未だ全容を語らず ベールに包まれた右肘手術の「謎」とは一体?
一体全体何だったのだ。代理人のネズ・バレロ氏が交渉相手の球団に厳しいかん口令を敷き、課程がベールに包まれた大谷翔平のフリーエージェント(FA)交渉。ドジャースとの10年総額7億ドル(約1015億円)の巨額契約締結後、本人やバレロ氏の口から内幕が語られ、「トロント行きチャーター機事件」とも呼ばれた報道の裏側も明らかになった。 【動画】大谷翔平が日本人初の本塁打王に!圧巻の全44ホームランを一気に見る それでも、いまだ明かされていないことがある。それは大谷が現地時間9月19日に受けた2度目の右肘手術の詳細だ。 大谷は8月に右肘の内側側副靱帯を部分損傷。23年シーズンは投手としてのプレーを諦め、打者一本で出場を続けたが、ほどなく右脇腹を痛め、9月3日を最後にエンゼルスでのプレーを終えた。 選手生命にも関わる今回の右肘への手術は、自身の別部位の腱を移植するトミー・ジョン手術とも、人工靱帯(インターナル・ブレース)を用いた補強術とも、その両者を組合わせたハイブリット式手術とも言われている。 現地時間12月14日に実施されたドジャースへの入団会見で、大谷は手術について「術式が前回と違うので。そこをどう表現するのか、僕は専門外なところではあるので、そこはドクターの方が詳しい」と明言を避けた。また、バレロ氏も「手術の名前はないようなもので、前回とは全く違う」と語り、具体的な術式への言及は避けた。 大谷は現時点で2024年シーズンは打者に専念。投手としては2025年シーズン開幕からの投手復帰を目指すとされている。今回の手術の執刀医であり、ドジャースのチームドクターも務めるニール・エラトロッシュ氏は、地元紙『LA Times』の取材で、順調ならば、2024年9月に打者相手の実戦形式の登板が「可能になる」と語っている。 人工靱帯による補強術の場合、術後半年から10か月で実戦復帰できるケースが多い。しかし、今回は1年以上の復帰期間を見込んでいることから、単なる補強術ではなく、何らかの腱を移植する手術が施された可能性は高い。 『LA Times』の取材もトミー・ジョン手術が施されたことが前提であるかのように、記事が展開されている。それでもエラトロッシュ医師は靱帯の損傷具合などの詳細は一切明かせないとしたうえで、「投手として復帰できる可能性は、1回目の手術と同程度」と見立てている。 あれだけ必死に隠し通した交渉過程は明かしたが、手術の術式だけは実質的にはまだ口を封じたまま。米ヤフースポーツのジャック・ベアー記者も「ショウヘイ・オオタニと彼の代理人は、靱帯修復手術はトミー・ジョン手術ではないと語る」とこの件について記事で追求した。トミー・ジョン手術といえば、エラトロッシュ医師の「師匠」でもあるフランク・ジョーブ医師が施術したドジャースの投手の名前が、その術式となった。 現時点で大谷が投球再開を見込む来年9月は、そのトミー・ジョン投手が初めて手術を受けた時からちょうど50周年にあたるともいう。バレロ氏が話したように全く新しい術式というのならば、今後同例の手術が「ショウヘイ・オオタニ手術」と呼ばれる日が来るのだろうか。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]