チャン・ティン監督が明かす、『康熙帝』を製作した理由 「“友情”と“偉業”を再現したい」
中国ドラマ『康熙帝~大河を統べる王~』DVD-BOX3の発売を記念して、チャン・ティン(張挺)監督のインタビューコメントが公開された。 【写真】『康熙帝~大河を統べる王~』場面カット 本作は、中国の清王朝時代に実在し、歴代屈指の名君とされた皇帝、康熙帝の偉業を描いた歴史ドラマ。中国の清王朝全盛の時代を作った第4代康熙帝は、60年以上の長い統治期間であったこととともに、「三藩の乱」や「鄭氏台湾の征服」、「新しい税制度の導入」など、成し遂げた多くの業績によって中国史上No.1の皇帝と呼ばれている。朝廷内闘争、高官らの汚職、対抗勢力との戦いなど内憂外患に阻まれながらも、人知を尽くし、努力を尽くして黄河の治水事業に奮闘した人々の姿が映し出されていく。 『王女未央ーBIOUー』のルオ・ジンが康熙役を演じ、『鶴唳華亭~Legend of Love~』のホァン・チーチョン、元バレエダンサーという異色の経歴の持ち主だが『少年の君』などにも出演しているイン・ファンらがキャストに名を連ねている。 チャン・ティン監督は本作を作ったきっかけが「とある史料に触れたこと」と明かす。 「靳輔が康熙帝宛てに書いた遺書です。遺書には彼自身の人生について語られることはなく、また残された家族に対しても一切要望が記載されておりませんでした。そこには、彼と治水で共に戦った陳潢との思い出ばかりが綴られていたのです。その中で私が最も心を打たれたのは、『陳潢は無実の罪を着せられたまま死んだので、彼の無罪を証明できなければ、陳潢の魂に顔向けできない』『親友を裏切るような人間にだけはなりたくない』という部分です。この遺書からは彼らの友情がこれでもかと溢れ出し、涙なしでは読むことができません。私はこの遺書からドラマの構想を練り、2人の生涯に渡る“友情”と彼らの成し遂げた“偉業”を再現したいと思いました。彼らの死から30年後、人々は黄河に寺を建て、彼らを黄河の神と称えています。中国では古代から、聡明で正直な人、また自分の損得にとらわれず国に人生を捧げる人、を“神”と言い表してきました。彼らは“中華民族の守り神”と呼ぶに値する人だと言っても過言ではないと思います。彼らは私たちの誇りであり、この献身的な姿勢は後世の人々の鏡となることでしょう。これが本作を制作した最初の目的であり、最終目的でもあります」 史実を題材とした本作だが、何よりも大切にしたのは「主人公の信念」だという。 「歴史がすべて正しいとは限りません。しかしながら400年近く経った今でも、主人公2人の像は黄河に沿って多数存在しており、恩恵を受けた後世がどれだけ彼らに敬意を払ってきたのかが見て取れます。彼ら2人は生前あらゆるデマや野心家から妨害されてきましたが、最終的に誤解が解け、彼らの無実が証明されました。これが私の歴史への理解です。全話撮影時間を計算すると120日に及びます。最南端の浙江から最北端の内モンゴル、青海までの広い範囲で行い、夏から翌年の春までかかりました」
リアルサウンド編集部