日本の「平均年収」と年収の「中央値」にはどれだけの差がある? 中央値の概念を理解して自分の収入と比較しよう
お金のことで自分の将来に不安を抱えていると、つい「周りの人はどれぐらい給与をもらっているのだろうか」と気になってしまうことも。そんなときに目安になるのが平均年収です。しかし、必ずしも平均値が実態に近いとは限らないことをご存じでしょうか。 そこで、今回は中央値について解説したあと、日本人の平均年収とどれぐらい差があるのかについて紹介します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
中央値とは?
中央値とは、簡単にいうと「複数のデータを数値順に並べたときに真ん中にある値」のことです。例えば、年収が250万円・300万円・350万円・500万円・1000万円の5人がいた場合における中央値は、真ん中の値となる350万円になります。 一方、平均値とは複数のデータを合計したあとに、その個数分だけ割り算して算出する値」です。上述の例でいうと、平均値は480万円{(250万円+300万円+350万円+500万円+1000万円)÷5}となります。 このように、平均値には特定のデータの数値が大きかったり小さかったりする場合、その値に引きずられてしまうという特徴があります。一方、中央値は複数のデータの真ん中にある値を指すため、特定のデータの数値が大きかったり小さかったりする場合でも影響を受けにくいといえます。 給与所得は、大企業の役員や弁護士など収入の多い一部の人が平均値を大きく引き上げている傾向があるため、中央値のほうがより実態に近い数値を示しているといえるでしょう。
年収の平均値と中央値はどれぐらい?
日本人の平均年収は、国税庁の「民間給与実態統計調査」で知れます。令和4年分の資料によると、日本人の平均給与は458万円(前年比2.7%増)でした。 一方の中央値は、国税庁の資料に掲載されていないものの、転職・求人サイト大手「doda」の調査によると約360万円という結果になっています。また、同じく転職サイトを運営する「Career Theory」が国税庁や厚生労働省の資料などから試算した給与の中央値は約366万円でした。 以上の数値は、あくまでも参考ですが日本人の給与の中央値は360万円前後と考えておくとよいでしょう。つまり、平均値と中央値の間には100万円近い差があるわけです。これは、上述したように一部の高額所得者が平均値を押し上げていることが原因と推測できます。