「黒い雨」はどこまで降った? 79年経って未だ争う理由はどこに? 新基準運用後もくすぶる思い「どうすれば信じてもらえるのか」 第二次「黒い雨」訴訟 追加提訴で原告は46人に
2015年に始まった訴訟では、それまでの援護対象区域の外で雨にあったという原告全員の訴えが認められ、国は、新たに3種類の雨域を認める新基準を策定しました。2022年4月からの運用で、24年5月末までに5900人余りが新たに認定されています。 一方、河野さんなど今回の裁判の原告は、その新基準の雨域の外で雨を浴びたとしていて、手帳の申請を却下されました。 広島市 原爆被害対策部援護課 坂本千景課長 「これらの雨域の外で雨にあった、とされる方については、さらに原爆戦災史など、過去の資料を丁寧に調査しています」「客観的な資料で確認できなければ認定が難しいということです」 雨域の外で「黒い雨」が降ったのかが、資料で確認できないから却下…。 原告の弁護団は、これまで広い範囲での供述調査が行われなかった中で、「あまりに不合理だ」と言います。 ■「その場所に雨が降ったかどうか」 立証責任は誰にあるのか? 「黒い雨」訴訟 原告弁護団 竹森雅泰事務局長 「広島県下全域に広げてちゃんと調査をしていればよかったんだと思うんですけど、残念ながら限定されてるわけなんですね。調査が県下全域ではない」「結局、原告の皆さんにその立証責任と言いますか、どこまで雨が降ったのかということを求めるような感じにはなってるんですけど、それはやっぱりおかしいだろうと思うんです」 国は、2020年に「検討会」を発足させ、これまでに10億2000万円を投じて、援護対象となる雨の降った区域を再検証していますが、未だ確定していません。 一方、原告の支援者らは、2023年秋、「降雨地域の外」とされる場所で、初めての相談会を実施しました。 今回の原告46人のうち、6割を超える30人が、旧佐伯郡で雨に遭ったという人たちです。会場には、その佐伯郡で「雨が降った」という話をする人たちが次々と訪れていました。 母親(当時5歳)が津田で雨に遭ったという男性 「ここですね。津田。区域外いうことなんですが、そういう風に母親から雨が降ったいうのをきいていたり」 夫が峠で雨に遭ったという女性 「峠、ここですね」 自身が当時小6で友和村で雨にあったという男性 「ざーっと黒いのが降った。それが校舎まで遠いけ、もう一人おった同級生と(校舎に)走り込んだのを覚えてる。大きな粒」
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