「加害者生まない世の中考えて」京アニ放火殺人、遺族講演 子に先だたれ「これほどしんどいのか」
京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)で起きた放火殺人事件で犠牲になった渡邊美希子さん=当時(35)=の遺族が17日、下京区で講演し、「どうすれば加害者を生まない世の中を作ることができるか、社会全体で考えてほしい」と訴えた。 25日からの犯罪被害者週間を前に、京都犯罪被害者支援センターなどが主催し、支援に携わる関係者ら約140人が参加した。 母達子さん(74)は「子どもが先に亡くなるのはこれほどしんどいのかと思った」と、事件後の感情を振り返った。支援者に勧められたカウンセリングによって、混乱している自分を認めることができたといい、「相談することで気持ちが整理できた」と感謝を伝えた。 兄勇さん(45)は、昨年9月~今年1月の裁判で青葉真司被告(46)が語った「今の環境なら事件を起こさなかった」という言葉を引用し、「聞いていて許せないし苦しかったが、加害者を生まないためにはどうすればいいのか、考えさせられた」と話した。家族の中でも事件に対する受け止めは異なると説明し、「同じ事件でも遺族の思いはそれぞれ違うことを認識して対応してほしい」と、きめ細かな支援を訴えた。