井上尚弥に再び「人類最強」の称号!1年9か月ぶりにPFP1位に返り咲く
プロボクシング世界4団体スーパーバンタム級統一王者の井上尚弥(31)=大橋=が9日(日本時間10日)、米国で最も権威のある専門メディア「THE RING(リングマガジン)」が選定する、全階級を通じた最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で1位に輝いた。日本選手初の1位になった2022年6月以来の栄誉。全米ボクシング記者協会(BWAA)のMVP受賞も決まっている尚弥について、所属ジムの大橋秀行会長(59)は米ニューヨークで6月6日(同7日)に行われる授賞式に出席すると明かした。 34年ぶりに東京ドームで6日に行われたプロボクシング興行で、ルイス・ネリ(メキシコ)に6回TKO勝ちしたモンスターがまたひとつ大きな勲章を得た。2年前に日本人で初めてリング誌のPFP首位に輝いた尚弥が、2位となってから1年9か月ぶりに1位に返り咲いた。タイソン、メイウェザー、パッキャオらスーパースターにしか与えられない栄誉。ここまで1位だったWBA、WBC、WBO世界ウエルター級統一王者テレンス・クロフォード(米国)を2位に抑えた。最近ではヘビー級のウシク(ウクライナ)が首位に戻った例はあるが、軽量級の尚弥が中・重量級を抑えて再び首位になるのは快挙にほかならない。 尚弥はこの日、大橋ジムを通じて「権威あるリング誌のPFP1位に返り咲くことができました。これもいつも応援してくださる皆さんのおかげです。東京ドームでの戦いを経て、今後のキャリアを加速させていくので、また応援よろしくお願いします」とコメント。大橋会長は「東京ドームでの歴史に残る一戦を終えて、まだ興奮冷めやらぬ状況でPFP1位になったのは、またまたビックリです」などと談話を寄せた。 ダグラス・フィッシャー編集長を除く10人の選考委員による選考過程をみると当初、尚弥は2位だった。だが、委員の1人は直近4年で4戦全勝のクロフォードとウシクと比べて、尚弥は8戦全KO勝ちと、重い階級の2巨頭に「実績で劣らない」と指摘。さらにネリ戦では初回にダウンを喫しながら「即座に対応した井上は尋常ではなかった」と評価した。ダウンについても、ムハマド・アリがヘビー級世界王者になる前の試合でダウンした例を挙げ「大事なのはどう対応するかだ」と力説。これに7人が「明らかにトップとしての地位を確立している」と賛同。8―2で尚弥が1位に決定したが、クロフォード推しの2人も「僅差」とした。 尚弥は今年1月、日本人初となるBWAAの23年度年間最優秀選手賞(シュガー・レイ・ロビンソン賞)に選ばれた。大橋会長はスポーツ報知の取材に、6月に行われる授賞式を兼ねた晩さん会に出席すると明言した。今度はボクシングの聖地で脚光を浴びるのだ。実はリング誌のPFPは、1950年代初期にウエルター級&ミドル級の名世界王者だったシュガー・レイの強さを称える「愛称」として作られた用語。PFPは、まさに尚弥にふさわしい称号だった。(谷口 隆俊) ◆The Ring(リングマガジン) 1922年、米国で創刊された専門誌(月刊)で、ボクシング界では最も権威があると認められている(現在はウェブのみ)。PFPは17階級(WBA、WBCは18)の全選手が同じ体重と仮定して、一番強い選手に与えられる呼称。89年にPFPランキングが導入された。各メディアでもPFPを選定、ポイント制や合議制によりランキングが作られるが、リング誌が最も権威があり、80年代後半に君臨したヘビー級のマイク・タイソン(米国)らも1位となっている。
報知新聞社