“占い師レスラー”チェリー50歳でキープの肉体美。年間100試合前後を20年、還暦まであと10年!
「『これはあやしいぞ』と思われるインパクトが必要だと思って、占いを取り入れることにしたんです」
プロレスを楽しんでほしい。そんな思いから生まれた発想が、占い師レスラーという個性だった。「ファンタジー」とされてきた実年齢を公表したのが12年5月。このとき彼女は37歳。そして、18年のDDT退団から占い師レスラーを名乗るようになった。 「年齢を重ねるにつれて、もっとあやしさがほしいと思ったんですよ。私には、あやしさが足りない。『十分あやしい』と言われましたけど(笑)。それでもまだまだ足りない。出てきたときに、『これはあやしいぞ』と思われるインパクトが必要だと思って、占いを取り入れることにしたんです」 チェリーの試合には、「数秘術マッチ」という独特の試合形式がある。これはチェリーが対戦相手の性格や才能、使命などを事前に占い、特別ルールを決めるというもの。最近ではYMZ11・29新宿で、加藤園子と「数秘術マッチ」で闘った。 この試合は通常ルールに加え、2カウントが入るごとにYMZ主宰者の米山香織に関するクイズが出題され、正解で勝利、不正解なら延々と試合が続くというもの。加藤の実直な性格、試合スタイルを逆利用した形式で「米山のことなら何でも知る」と豪語するチェリーの勝利は堅いと思われたが、次から次へと加藤が失敗しながらも正解にたどり着き、逆転勝利。すなわち、「数秘術マッチ」とは勝敗を占うのではなく、必ずしもチェリー有利に運ぶとも限らない。同時に、占いポリシーに則った試合形式でもあるのだ。 「そうなんです、試合の勝敗は占いません。というのも、勝つ未来も負ける未来もあるからです。未来や結果って、いくつもパターンがあるんですよね。そのときに自分が何を選ぶかで変わってくる。『アナタはこうなりますよ』と言う占い師さんは、数ある中のひとつを提示しているんです。私は逆に、『こうなります』とは言わないようにしています。たとえば、『恋人できますか?』『結婚できますか?』と聞いてくる人に『このあたりがいいですよ』と言うのは簡単なんです。でも、それによって聞いた人が引っ張られる可能性がある。そうなると、『このときに恋人できるなら、いまは何もしなくてもいいや』ってなっちゃうかもしれない。そうなったら何も起こらないですよね。だから断定はしないようにしているんです」 未来には「やる未来」と「やらない未来」がある。やるかやらないかは本人しだい。占いをもとに夢や目標に向けてアドバイスを送るのが、チェリーの占いに対する考え方だ。 「来年(25年)も、プロレスがもちろん一番ですけど、私にとっては新しいことを始める年でもあるんですよね。なので、個人的にはいろいろやってみたいとは思ってます。たとえば、トークショーや講演会みたいなことをやりたいなって。占いをやっていると、いろいろ悩み事とか聞くんですよ。いろいろ相談とかもされたりして。一人ひとりだと限界もあるし、共通の悩みとかも多いので、だったらまとめてお話したりするのもどうかなって思っています。必ずしも正解があるわけじゃないけど、ちょっとだけでもヒントになればいいかなと。我慢や遠慮している人が多いので、そういう人の背中を押せたらいいなと思っているんです」 そんなチェリーが12月24日(火)、東京・王子BASEMENT MONSTERにて今年3回目の自主興行を開催する。フリーになってから自主興行は通算で10回目、一年に3度の興行は今年が初めてだ。 「10回目は知らなかったです(笑)。ただ、今年3度目というのは(占いからも)意識してました。私一人でやってるので、本来は一年に1、2回が限界なんですけど、7月に20周年もやったし集大成の意味もあり、ちょっと今年最後、クリスマスにやっちゃおうかなって閃いて(笑)。こんどの大会はファンタジーイリュージョン軍、カラーズ軍、シン北京プロレス軍、藤田プロレススクール軍の4軍団から3人ずつ出てもらって、対戦カードは当日、抽選かなんらかの形で決定します。クリスマス(イブ)なので、ちょっとクリスマスっぽい楽しい会にしようと思ってます。来てくれた人をパーティーにお招きするような感覚ですね。なので、クリスマスパーティーのように楽しんでもらえたら。この日は20周年のときに一日限定復活してくれた渋谷シュウ(元wave)がお手伝いに来てくれます。売店にいると思いますよ(笑)。自主興行では私が酷い目に遭うことも? まあ、そうですね(苦笑)。でも、リングは闘いなので、しょうがないです!」 50歳をすぎても衰え知らず。プロレス界では年齢がネタになっていたチェリーだが、プロレスを知らない人が見たら彼女が50歳とは誰も思わないだろう。しかも肉体美をキープし、年間100試合前後を20年間継続中。来年、そのペースが落ちるとも思えない。あと10年もすれば還暦だ。還暦と言えば今年、神取忍と長与千種がリングでの闘いで、「還暦」を祝った。 「背中を見せてくれる先輩がいると勇気が出ますね。(還暦記念試合を)やりたいなという気持ちになります。いい目標ですよね!」 インタビュアー:新井宏
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