奥平大兼、新田真剣佑は“学校の先輩みたい”「すごくフランクにしゃべってくださる方でした」<ワンダーハッチ>
初出演した映画「MOTHER マザー」(2020年)で、数々の新人俳優賞を総なめするなど演技力に注目が集まり、以降さまざまな役に起用されている俳優・奥平大兼。2023年7月期に放送されたドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)では、ドラマ終盤まで本心が読めないどこか危うい男子生徒・星崎透を怪演し、抜群の存在感がSNSでも話題に。そんな奥平は12月20日(水)からディズニープラスのスターで独占配信される「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」で、ドラゴン乗りの少年・タイムを演じる。そんな奥平にインタビューを行い、今作の撮影エピソードや共演者の印象、“異世界”について考えていることなどを聞いた。 【写真】奥平大兼、“相棒”のドラゴン・ガフィンとのキュートな撮り下ろし2ショット ■「まずは理解する必要があるなと思いました」 ――壮大なファンタジー作品への出演でしたが、台本を読んだ時の印象はいかがでしたか? 台本だけだとどうしても想像が付かない世界観の作品だったので、まずは理解する必要があるなと思いました。役作りなど、普段僕はあまりやらないんですけど、今回はちゃんとやらないとリアリティーに欠けてしまうなと感じました。 ――ではご自身が演じたタイムをどうやって理解されましたか? 物語でタイムは現実世界へやって来るんですけど、実際は「ウーパナンタ」の世界で15年間生きてきたという経験や過去があるので、彼のことをもっと知っていかないといけないなって思いました。彼が住む世界の常識を知らずに無視して演じてしまうのはダメだと思ったので、そのあたりが一番難しかったですね。 ――それにタイムは「ウーパナンタ語」で会話をしますもんね。 (タイムは)その言葉を15年間もしゃべってきたわけだから、僕がちょっと覚えたぐらいで話すのは違うなって。すらすらしゃべるのは難しかったですね。 「芝居が良かったとしても言葉が少しでも違ったらやり直すので言ってください」と監督とも約束していました。(ウーパナンタ語での)長ゼリフもあったので、何回もやり直したりもして…。覚えるのも少し変な感覚ですし、覚えられているのかどうかも分からない、そんな不思議な感覚がありましたね。 ――徹底的に世界観を叩き込むような役作りを経験してみていかがでしたか? すごく楽しかったです。ただ役作りをすると言っても、「現場で感じたことを大切にしたい」という根本的な部分は変わらないので。例えば、「日本語でのセリフをウーパナンタ語で言っても良いですか?」など、台本で思うことがあれば監督に相談する機会が多かったです。この作品が結構ゆっくりと時間をかけて撮影していったので、話し合う機会や凝る時間ができたことはとても良かったですね。 ――いろいろとタイムのことを分析されてきたと思いますが、どんな少年だとお考えですか? 本当に誰に対しても同じ対応であり、真っすぐで純粋ですよね。疑うことを知らないっていうか、ちょっと危なそうなところもあるけど、それが良さでもある不思議な子です。「諦めない」という簡単そうで難しいことを腹立つぐらいに挑戦する子なので、それがかっこいいし、彼の良いところですね。この物語において、タイムの性格はすごく重要に関わってくるので、「変える力」を持っているんだなって思います。 ■共演の中島セナは「役者として魅力がある方」 ――共演された中島セナさんや新田真剣佑さんの印象はいかがでしたか? セナさんは役者として魅力がある方だなって思いました。どんな作品でも見ている時にどうしても気になってしまう役者さんっていると思うのですが、その力を持っている方だなと個人的には思っています。それはお芝居ができる、できないにかかわらず、本人の魅力だと思うのですごく大切にしてほしいです。 真剣佑さん(新田)とはゲーム好き同士で段々話すようになると、すごくフランクにしゃべってくださる方でした。お兄ちゃんというよりも、学校の先輩みたいな感覚でしたね。(芝居中は)口では言わないけど、僕が(芝居を)やりやすいように変えてくださったりしたんじゃないかなって思います。特に体を使ったアクションがお上手で、一緒にできて勉強になりました。 ■監督は「自分の頭の中に明確なイメージがある方」 ――萩原健太郎監督の演出で印象に残っていることは? 作品全体の話になってしまうのですが、監督は自分の頭の中に明確なイメージがある方でした。どうしても撮影を進めていく中で、カメラマンさんが撮りたいイメージや役者側とのコミュニケーションなど色んなことを決めないといけないと思うんです。 最終的に決めるのは監督ですが、そのやりとりが毎回すごく難しいことだなと思っていて。監督は本当に柔軟で意見を取り入れながらも、絶対に自分が譲りたくないところは突き通すんですよ。 ――「何度も話し合う時間があった」とおっしゃっていましたもんね。 「柔軟だけど、自分が持っているものは崩さない」という部分が(監督に)あると、すごく信頼できるというか、僕も100%でお芝居できますし、監督に付いて行けば撮りたいものが妥協せずに撮れるんだって。なので芝居している中で思ったことがあれば、素直に監督にも相談することができましたね。 ――この作品でタイムが暮らす「ウーパナンタ」は、異世界ですが、奥平さんは異世界があれば信じますか? どこにあるかは分からないですけど、あったら夢があるなって思いますね。例えば、パラレルワールドみたいな「別の世界線」があれば見てみたい。これは僕の願望なのですが、俳優の仕事をしていなかった自分がどうなのか知りたいんです。 最近思うのが、この仕事をしていると気にしなくて良いことも気にしないといけない瞬間があって。僕は地元の友達が多いんですけど、彼らが“気にしていない姿”を実際に見ると感覚が分からなくなるんです。 でも、役者さんは一般的な感覚を持っている人を演じる機会のほうが多いから、そういう意味で別の世界線を見て、色んな感覚を知ることができたらお芝居にも役立ちそうだなって思うので、もしあればぜひ見たいですね。 ◆取材・文/suzuki 撮影/永田正雄 スタイリスト/伊藤省吾(sitor) ヘアメイク/速水昭仁(CHUUNi Inc.)