米KKR子会社がアルプス物流に1株5774円でTOB、8割保有へ
(ブルームバーグ): 米投資ファンドのKKR傘下のロジスティード(旧日立物流)は9日、アルプス物流株を1株5774円で公開買い付け(TOB)すると発表した。最終的にアルプス物流株の議決権8割の保有を目指す。TOB価格は同日の最終価格4350円を33%上回る。
ロジスティードの発表によると、同社の100%子会社はまずTOBにより現在合計で約49%を持つアルプスアルパインなど同社グループを除いた全株主からアルプス物流株の取得を目指す。TOBは8月中旬ごろの開始を見込み、総額は1052億円。TOB成立後にアルプスA保有分を含めた全株を取得する。
アルプスAは買収主体に出資する形で最終的にアルプス物流の議決権比率を20%とする計画だ。アルプス物流は同日、TOBに賛同すると発表した。同社株は非公開化される予定だ。
物流業界では、時間外労働規制によりトラック運転手が不足する「2024年問題」を受け、構造改革が急務となっている。企業の合併・買収(M&A)を通じて設備や営業拠点を補完・共有すれば、人手不足の解消に加え、業務効率化による収益性の改善も期待できる。
アルプスAは同日、25年3月期中に一連の取引が完了した場合、連結決算で約300億円の特別利益を計上する予定だと発表した。
発表に先立つ8日の取引時間中に、ロジスティードがTOBを通じてアルプス物流株を取得するとブルームバーグが報じたのを受け、同社株は9日までの2日間で28%上昇していた。
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Kazu Hirano