13坪の自邸がメディアで話題に!住宅街の狭小地で開放感を実現した、注目の若手建築家のアイデアとは?
2023年に完成した自邸「家の躯体」が大きな話題を呼び、テレビや雑誌など多数のメディアで紹介された今最も注目を集める建築家のひとり、五十嵐理人さん。 【写真集】敷地43㎡とは思えない!伸びやかな空間が広がるコンクリート造の建物 大手ゼネコンの設計部とアトリエ系設計事務所を経験。両方で学んだことを融合させ、デザインと機能の絶妙なバランスを保ちながら、住宅を中心に設計活動を行っています。 五十嵐さんが設計で大切にしているのが、“空間の強度”。使い手や用途が変わっても、ふるまいを制限することなくあらゆる可能性を受け入れる、おおらかさをもった建築を目指しています。
五十嵐さんの設計哲学/あらゆる変化を受容する揺るぎない建築
五十嵐さんは大学卒業後、清水建設の設計部を経て、谷尻 誠さん・吉田 愛さん率いるSUPPOSE DESIGN OFFICE(サポーズデザインオフィス)で研鑽を積みました。この両者での経験が五十嵐さんのデザインと機能の絶妙なバランス感覚につながっています。 「ゼネコンではデザインだけでなく、構造や設備の機能性も強く要求され、基本をたたき込まれました。一方のSUPPOSE DESIGN OFFICEでは、クライアントにいかにデザインが意味のあるものなのかを伝え、デザインに対するプライドと責任感を学ぶことができました」 独立し、IGArchitectsを設立てから最初に手掛けたのは「宇品のカフェ」。「カフェという用途を超えて、街の人が集まれる場所にするため、強度をもつ建築をつくりたいと考えました」と五十嵐さん。 五十嵐さんの考える“空間の強度”とは、あらゆることを受容するおおらかさをもつ建築のこと。変化を受け止めるには、ゆるぎない建築としての骨格(フレーム)、つまり構造が重要だと話す。 この後に紹介する自邸は、コンクリートの箱型の建物に複数のスラブを重ねた空間構成。「家の躯体」という住宅のネーミングにも(躯体とは建築の構造体のこと)、彼の哲学がよく表れています。 沖縄で手掛けた「一本足の家」もユニークな構造。中央に大きな柱を1本立てて、やじろべえのような構造を採用。四方に巡らせたガラスと木の壁はつくり変え、カフェやギャラリーなど住宅以外の用途に転用することも想定したものです。 「自分が設計したものを、住み手が膨らませていく。こちらの意図を超え、新しい可能性を見せられる。そのときは本当にうれしくて、それこそが住宅設計の醍醐味だと思います」