親が「貯金が2000万円あるから」と、60歳から年金を受給するそうです。年金額が減らないか心配なのですが大丈夫なのでしょうか? 暮らしていけるか心配です…
悠々自適な老後生活を送っている人がいる一方で、「年金だけでは生活ができない」という報道を耳にすることもあります。自分の親が高齢になったときに、年金だけで暮らしていくことができるのか不安に感じる人も多いのではないでしょうか。年金は原則65歳からの受給となりますが、60歳の定年退職後、再就職をしない場合、年金の繰上げ受給を検討する人もいるでしょう。 本記事では60歳から年金を繰上げ受給した場合、平均的な生活費で年金生活を送ることができるのかを検証していきます。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
60歳まで繰上げ受給した年金受給額はおよそ17万円
厚生労働省が発表している令和6年度の夫婦2人の標準的な厚生年金額(老齢基礎年金を含む)は、およそ23万円です。 年金は通常65歳から受給開始となりますが、繰上げ受給する場合、「繰上げた月数×0.4%」だけ年金額が減額されます。したがって、平均的な年金受給額の夫婦が60歳0ヶ月から年金受給を開始すると、およそ17万5000円まで年金が減ることになります。なお、この減額率(受給額)は生涯変わりません。 <60歳まで繰り上げ受給したケース> 65歳から受給開始した場合の年金額を23万円とします。 減額率=0.4%×60ヶ月(5年間)=24% 年金額=23万円×76%≒17万5000円
年金受給額17万円では20年後には破産するリスクが高い
次に支出を見ていきましょう。総務省統計局が公表している2022年の家計調査年報を見ると、65歳以上で夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の支出合計は、図表1のとおり約27万円です。 図表1
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年) 左側にある非消費支出とは、税金や社会保険料などを指しています。一定金額以上の年金を受給していれば、所得税や住民税を納める必要があります。また、介護保険や後期高齢者医療保険も生涯にわたって支払う必要があります。 仮に60歳からの年金額が17万5000円だとすると、毎月の不足額はおよそ9万5000円となり、年間では114万円が不足します。20年間では2280万円不足する計算となるので、老後の蓄えが2000万円あっても20年後には尽きてしまいます。