山本由伸と投げ合うパドレスの右腕と夢の記念撮影。ロスとソウルで貫くドジャース愛。日本人駐在員が親子で感涙。
【ソウル池田郷】韓国で20日に開幕戦を迎える米大リーグ・ドジャースの試合観戦を、誰より心待ちにしていた日本人駐在員がいる。現地の日本人会「ソウル・ジャパン・クラブ(SJC)」野球部監督の浦部裕次さん(55)。商社マンの浦部さんは過去にドジャースの本拠地ロサンゼルス勤務を経験した熱心なファンだ。絶好の機会を捉えて日本から呼び寄せた中学生の長男と浦部さん親子に、夢のような1日が訪れた。 浦部さんがドジャースの開幕戦のチケット入手法を調べ始めたのは、大谷移籍が決まるはるか前の昨年7月。メジャー通として、当時エンゼルスにいた大谷翔平選手の移籍先にドジャースの可能性があることも視野に入れていた。 SJC野球部メンバーとの会食でも、しばしばチームカラーの青い帽子と着古したTシャツ姿で現れるドジャースファンだ。 韓国で開幕するという数奇な巡り合わせに身震いした。加えて大谷選手と山本由伸投手がドジャースに加入。対戦相手のパドレスにもダルビッシュ投手、松井裕樹投手がいる。浦部さんが舞い上がるのも無理はない。 1月、入手困難なチケットの購入に挑戦。3月20日の開幕戦こそ逃したが17、18日の練習試合と、21日の第2戦のチケットを手に入れた。 「野球の神様がわれわれ親子のドジャース愛に報いてくれたのかも」と浦部さん。
■パドレスの先発投手と遭遇!
両軍選手が韓国入りした翌16日、浦部さんは東京から呼んだ長男と、ある場所を訪ねた。ソウル中心部の景福宮(キョンボックン)。両軍選手が本格的な調整に入る前の貴重な時間に足を運ぶのは、韓国の代表的な観光地ではないかと想像した。 読みは当たった。ダルビッシュの盟友で3年連続2桁勝利を上げたパドレスのジョー・マスグローブ投手が景福宮に現れたのだ。親子が観戦する開幕第2戦に先発し、山本投手と投げ合う予定。マスグローブ投手は長男との記念撮影に快く応じてくれた。 ■山本由伸のやり投げトレにくぎ付け 親子がチケットを入手した17日のドジャースと韓国キウムのエキシビション。 ゲーム前の練習時間に親子が目を奪われたのは、開幕2戦で先発予定の山本由伸投手。目の前で代名詞とも言える「やり投げトレーニング」が始まった。 やり投げのような器具を投げる「ジャベリックスロー」。山本投手はやり状の器具を驚くほど時間をかけて投げていた。 体全体を使い、無駄なく遠くに器具を投げる様子は「何かを確かめるような様子が印象的だった」と浦部さんは話す。 感激のあまり、長男は試合前から涙ぐんでいた。 そして迎えたプレーボール。 ドジャースは打線が爆発し、キウム相手に14-3で大勝。2番・DHで先発出場した大谷選手は2打席連続の空振り三振。第3打席には代打を送られ、ベンチに下がった。 「大谷の一発は、とりあえずお預けということで」。親子の目線はもう次の試合に向いている。
西日本新聞