今や1300万円超の新型メルセデス・ベンツGLE 300 d 4マティックの価値とは? 高級SUVの進化に迫る!!!
まさしくヨーロッパ車!
まず、一般的なセルモーターよりもはるかに強力かつ高回転のISGでエンジンを始動するため、瞬時に、そして“フィンフィンフィン! ”といったノイズも発することなく、すっと滑らかにエンジンがまわり始めるところがなんとも未来的。しかも、ディーゼルエンジンは超低回転からでも極大のトルクを生み出してくれるあたりも、電気自動車に積まれたモーターと特性がよく似ている。 そしてディーゼルエンジン単体ではどうしてもひと呼吸遅れがちなレスポンスはISGがカバーしてくれるので、その意味でも電気自動車に近い走りが楽しめる。というわけで、よくできたディーゼルエンジンとISGの相性はバツグンにいいと感じ入った次第である。 続いて足まわりの話に入る前に、ひとつ断っておかなければいけないことがある。 私、現行GLEはフルモデルチェンジの際に行われた2018年の国際試乗会に参加しただけで、それ以来、試乗するチャンスがなかった(AMGモデルを除く)。したがって、日本仕様に乗るのは今回が初めてだが、国際試乗会で乗ったGLEとあまりに足まわりの設定が異なっていることに、正直、かなり驚いた。 アメリカで開かれた国際試乗会で乗ったGLEは、どれもサスペンション部に用いられたゴム部品がソフトな設定で、路面からの振動はうまく吸収してくれるもののタイヤの位置決めはやや不正確で、ハンドリングもどこか鈍く感じられた。 ところが、今回試乗したGLE300dは足まわりからそういったあいまいさを感じることなく、シャキッとしたハンドリングに仕上がっていたのだ。それでいて乗り心地に荒れているところが一切なかったのはお見事! 国際試乗会で乗ったGLEが“アメ車”(事実、GLEやGLSはアメリカ・アラバマ州のタスカルーサ工場で生産されている)とすれば、今回試乗したGLEは「まさしくヨーロッパ車! 」という感じのハンドリングであり、乗り心地だったのだ。 これだけ内容が充実したおかげで、いまや4気筒エンジンのGLE300dでも車両価格は1376万円もするが、正直、4気筒だからといってパフォーマンスや快適性になんの不満も覚えなかった。ただし、ここに“たったの90万円”を追加するだけで、あの官能的なストレート6搭載のGLE450dに手が届くと思うと、心は激しく揺れる(はず)。どちらがよりお勧めかは、GLE450dに試乗したあとで判断することとしたい。
文・大谷達也 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ) 車両協力:メルセデス・ベンツ日本