「“月額200万円もらえないなら辞めない”とゴネ出して…」 「小林製薬」前会長を引きずり下ろせない納得の理由
死者5名、そして入院・通院2200名以上の被害者を出している小林製薬の紅麹サプリ事件。その責任を取って会長の小林一雅氏が辞任したのは7月23日のことだ。ところが、小林氏は同社の特別顧問に就任し、月額200万円の顧問料を受け取ることが明らかになった。全国紙社会部のデスクが言う。 【写真をみる】「まるで迎賓館!」 “土地だけで6億円は下らない”小林製薬創業家の大豪邸
「今回の役員人事では小林会長と長男の小林章浩社長の辞任が決まりましたが、これは弁護士で構成された『事実検証委員会』の結論を受けての措置です。同委員会は、被害者の救済とは別に、事件が発生してから執行部が事態収拾のためにどう動いたのか、それが適切だったのかを調査してきました」
規定では月額50万円のはずが…
辞任は既定路線だったが、それにしてもべらぼうな顧問料ではないか。 「小林製薬では一定期間、社内取締役を務めた者は顧問になれるという規定があります。ただし、報酬は月額50万円と決められている。ところが、小林会長は“顧問になるなら月額200万円もらいたい。それがダメなら会長を辞めない”とゴネ出したのです」(同) 小林製薬の取締役会の構成は社外取締役4名と社内取締役が3名の計7名。社外取締役には、わが国にコーポレートガバナンスを広めた伊藤邦雄・一橋大学名誉教授も名前を連ねている。その気になれば、社外取締役4人の賛成多数で小林会長を強制的に辞めさせることもできたはずだ。 「ところが、取締役会では、その伊藤氏をもってしても小林会長の要求を抑えることができなかったのです」(同)
強制的に辞めさせられないワケ
背景には、最近になって小林製薬の5.2%の株を取得した香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」の存在もあるとみられている。 「オーナー家である小林一族はグループ全体で約3割の株を保有しています。小林会長を追い詰めてしまって、オアシスと手を組まれたりすると、逆に社外取締役がたたき出されてしまう。高額な顧問料は社内に小林会長をとどめておく引留料ともいえます」(同) 同社に聞いてみると、 「弊社の再建に向けて、小林一雅前会長の知見と経験を生かすことが有用であると判断し、特別顧問の職を委嘱し、処遇を決めております」(広報・IR部) 小林製薬の中間決算発表は8月8日。新経営陣は、このバカ高顧問料をどう説明するのだろうか。
「週刊新潮」2024年8月8日号 掲載
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