PGAツアーで求められる"弾道の高さ"。選手たちが高弾道を実現するために重視する「骨盤の動き」とは?【解説「ザ・ゴルフィングマシーン」#104】
「ゴルフ科学者」ことブライソン・デシャンボーの「教科書」であり、50年以上も前に米国で発表された書物でありながら、現在でも多くのPGAプレーヤー、また指導者に絶大な影響を与え続ける「ザ・ゴルフィングマシーン」。その解釈者でインストラクターでもある大庭可南太が、先週に引き続きTPI(Titleist Performance Institute)の取り組みについて紹介する。
みなさんこんにちは。ザ・ゴルフィングマシーン研究家で、ゴルフインストラクターの大庭可南太です。さて今週も、先日参加してきましたTPI(Titleist Performance Institute)のセミナーの内容から、欧米のゴルフ界ではどのような考え方をしているのかについて紹介したいと思います。
高さは稼げる(Height is Money)
さて先週のおさらいになりますが、昨今PGAツアーでは「弾道が高いこと」がかなり重要視される傾向になっています。というのも飛距離が伸びている現在、コースの難易度を上げるにはラフを長くしたりグリーンを硬く、速くし厳しいピン位置にするというセッティングが一般的だからです。もちろんコースを改修して長くすることも行われていますが、これには限界があります。 そうなるとドライバーでランが出過ぎるとラフに行ってしまう(次のショットではスピンが入らないためグリーンで止めるのが難しくなる)ので、高弾道ビッグキャリーのラン少なめでフェアウェイに止め、次のショットも高くスピンの入ったボールでバーディを狙えるところに止めることが必要になります。昨今PGAツアーでティーショットをフェードで打つ選手が多いのも、このことと関係があります。 ではその高い弾道を達成するために、PGAツアーの選手が何を心がけているのかというと、それは「インパクトに向けて骨盤がボールから遠ざかる動き」だというのです。
アーリーエクステンションにメリットはない
そしてこの動作ができていない状態が「アーリーエクステンション」、つまりダウンスウィングで骨盤がボール方向に近づきつつ、上半身が伸び上がる動作です。この動作の最大の問題点は、インパクト時のシャフトのライ角が、アドレス時よりも立ってしまうため、ヘッドの入射角がスティープになって打ち出しが低くなりスピン量も増えてしまうことにあります。
【関連記事】
- ジョン・ラームの“身体に合った”スウィングを作り上げた「TPI」ってどんなところ? セミナーに参加してみた【解説「ザ・ゴルフィングマシーン」#103】
- 「学問」としてのゴルフ。往年の名プレーヤーのハウツー本から現代のデータ活用インストラクションまで考えた【解説「ザ・ゴルフィングマシーン」#102】
- PGA未勝利でライダーカップの欧州チームに異例の抜擢。超ブレイク中のスウェーデン人選手、L・エイバーグに注目!【佐藤信人アイズ】
- ゴルフ場の害獣被害対策アメリカ版。アリゾナのコースで行われた"駆除せず生かす"「スパイシーな香り」作戦とは?
- 石川遼は"ツノ型センターシャフト"パターにチェンジ。アマチュアも性格がまったく違うパターに替えるとメリットがある!?【クラブ選びをクール解説!】