OZE mini 植物図鑑
no.5 ニッコウキスゲ
ミズバショウと並んで、“尾瀬といえば”の花のひとつ。ひとつの株に5~6個の花芽を付け、順番に開花する。一日花とも呼ばれ、花を楽しめる時間はとても短い。しかしその花々が湿原で一斉に咲き誇るようすは、圧巻の風景。この時期を目指して訪れるハイカーも多い。近年では、そんなニッコウキスゲの新芽やツボミをシカに食べられる食害の問題も。シカ柵ネットで湿原を囲うなど、さまざまな対策により少しずつその数は戻りつつあるが、課題は多い。
no.6 キンコウカ
尾瀬の湿原には欠かせない植物のひとつ。茎の先に総状花序の星のような形をした黄色の花を付け、下から順に開花する。剣状の平らな葉はアヤメに似ている。尾瀬にある「アヤメ平」の名前は、そこに群生していたキンコウカの葉をアヤメと間違えたことが由来ともいわれる。秋になると真っ先にその葉はオレンジ色へと変わり、“尾瀬らしい”風景のひとつである「草紅葉」をつくり出していく。キンコウカの多い湿原は、草紅葉が美しく見られる証。覚えておくと尾瀬の紅葉を逃さず楽しめるはず。
no.7 イワショウブ
夏までの植物の開花ラッシュが少し落ち着いたころ、青々とした湿原のあちこちに咲き始めるイワショウブ。花径に小さな白い花を複数付ける。花が終わるとグラデーションがかった赤い実をつけ、秋の湿原で目を引く存在に。アリなど地面から茎をつたい花粉を狙う虫対策のため、茎には腺毛がありネバネバとする。花粉を運び受粉してくれている昆虫だけが、花にたどり着くことができる仕組みだ。
no.8 オゼミズギグ
18種あるとされる「オゼ」と名前の付く植物のなかでも、秋の湿原に多く咲き、植物ビギナーでも見つけやすいオゼミズギク。尾瀬に多く自生することからその名前が付けられたとされる。おなじキク科のタンポポにも似ているため、一度覚えたらすぐに見つけることができるはず。まっすぐと伸びる茎の先端に花をひとつ付け、葉の裏には腺点が多くあるのも特徴。秋の訪れを感じる植物のひとつでもある。
ランドネ編集部