公任と顕光には痛恨か?『紫式部日記』完全再現に狂喜…ウイカ「清少納言」も復活でまひろとの対立近づく【光る君へ】
吉高由里子主演で『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。9月22日放送の第36回「待ち望まれた日」では、まひろが「紫式部」と呼ばれることになる重要なエピソードが描かれるとともに、ききょう(清少納言)との因縁の対決のはじまりを予感させる動きがあった。 【写真】紫式部は案外好意的に見てた? 実資(秋山竜次)の行動 ■ 定子の産んだ内親王が早逝し…第36回あらすじ 藤原道長(柄本佑)の娘・彰子(見上愛)が、一条天皇(塩野瑛久)の子を懐妊。東宮の居貞親王(木村達成)や、道長の政敵・藤原伊周(三浦翔平)は、自分の子や甥の地位が危うくなるという焦燥感に駆られる。そんななか、天皇の皇后だった伊周の妹・定子(高畑充希)の産んだ内親王が早逝。定子の忠実な女房だったききょう(清少納言/ファーストサマーウイカ)が、伊周のもとに見舞いに訪れる。 そこで伊周から、天皇が今は『枕草子』ではなく、まひろが書いた物語に夢中になっていると聞いたききょうは衝撃を受け、その物語を読みたいと申し出る。そして彰子の出産当日、伊周は彰子に呪詛を行うものの、彰子は無事に皇子を産んだ。一方、道長のもう一人の妻・源明子(瀧内公美)は「子ども同士を争わせない」という道長の思いを無視して、自分の娘も彰子のように入内させることを、兄・源俊賢(本田大輔)に宣言するのだった・・・。
平安マニア狂喜、『紫式部日記』の再現あれこれ
紫式部が『源氏物語』と並行して記した『紫式部日記』は、この時代の様子を伝える重要な資料の一つ。執筆の動機としては『源氏物語』と同じように、道長からの依頼という説が実際に唱えられている。すぐれた小説家が紀行文やルポルタージュを書くという例は多いけど、この『紫式部日記』の出産&五十日の儀の様子も、お固い公式の漢文ではなく、状況や心情を生き生きと描写できるかな文字の特長を生かした記録となっている。 そしてこの36回では、『紫式部日記』に記された出来事のあれこれが忠実に再現されて、特に平安マニアを狂喜させることに。阿鼻叫喚の出産の現場や(実際は、あの場に立ち会う人々は残らず白装束だったそうだけど)、五十日の儀の席での公卿たちの醜態・・・藤原顕光(宮川一朗太)が女房たちに迫って調度品を壊したり、藤原実資(秋山竜次)が十二単の着物の枚数を数えていたのも、きちんと記載されている。 そのなかでももっとも有名なのが、藤原公任(町田啓太)が「若紫はいますか~?」と、紫式部の元に押しかけ、式部が「光る君がいない世界に、若紫がいるわけないし!」と突っぱねたというエピソード。 これは直接公任に伝えたというわけではないようだが、『光る君へ』では、かつて公任たちが影で自分の悪口を言っていたことへのリベンジと言わんばかりに、きっぱりと眼の前で言い切ったのが、まひろと帯同してきた視聴者としては、胸のすくような思いだった。 しかし顕光にせよ、公任にせよ、まさかたった1晩の無礼講での醜態を、1000年以上に渡って語り継がれることになるとは、まさに「殺してくれー!(もう死んでるけど)」という心境だろう。 ちなみに実資が着物の数を数えていたのは、別にそういうセクハラというわけではなく、贅沢禁止令を守ってるかどうかのチェックだった。酒席ですら風紀委員キャラを押し通す実資を、式部は案外好意的に見ていたようだ。そして実資の日記『小右記』では、この時期から式部と思われる女房がしばしば登場しているので、今後2人の絡みが見られるかも?