ハワイ追い抜く「沖縄」観光地モラル低下のヤバさ サンゴの踏みつけなど生態系への影響も問題に
そのほか、領収書を発行しない、案内人数の虚偽報告、迷惑行為を行う、占有行為を行う、サンゴ保全に対する意識の低さ、安全管理がなされていないなど、オーバーツーリズム以前の問題とも思われる事業者が多数存在することが指摘されている。 こうした悪質な事業者を排除できないのが、沖縄の現状である。 実は真栄田岬周辺は、「沖縄海岸国定公園」という自然保護区に指定されており、特に環境保全や質の高い観光利用が求められる地域である。
国際的にみると、実証実験で策定された内容(利用届の提出、時間あたり利用人数や進入禁止区域の設定など)は、自然保護区では、極めて一般的な措置であるが、これすら実装することが難しい状況にある。 ハワイであれば、すぐに対策が採られるだろうが、日本では拘束力に乏しい実証実験や自主ルール、自粛要請を繰り返すことでお茶を濁すきらいがある。その間に、地域住民が迷惑し、自然が壊され、事故が起こり、観光客が遠ざかっていく……という負のスパイラルが繰り返される。
これでは観光立国どころではない。 ■オーバーツーリズム・スポットの多さ 沖縄県が日本の他地域と特に異なるのは、真栄田岬のようなオーバーツーリズムの問題を抱えているスポットがいくつも存在する点である。 2012年に沖縄県が行った「早急に環境保全が必要なサイト」に関するアンケート調査では、真栄田岬に加えて、慶良間諸島、ター滝、ピナイサーラの滝、辺野古沖、八重干瀬(やびじ)、宮城海岸、米原海岸などの名前があがっている。
アンケートから11年が経過しているが、これら「早急に環境保全が必要なサイト」とされた場所のうち、法に基づいた対策が予定されているのは、世界自然遺産に登録された西表島の「ピナイサーラの滝」など、ごく一部である。 それ以外の地域でも、死亡事故の多さ(真栄田岬、ター滝)や半グレ集団の資金源となっているビーチなど、現在もさまざまな課題が指摘されているが、国や県、自治体は重い腰をあげず、今も無秩序な利用が放置されている箇所が数多く存在する。