U-23日本代表がアジアの頂点に立てたのはなぜか? 主な理由は2つある
パリ五輪アジア最終予選を兼ねたU23アジアカップ。すでにパリ五輪出場を決めている日本は、決勝でウズベキスタンに1-0と勝利し、2016年大会以来となる2度目の優勝を果たした。 【画像】カタールW杯でバズった美女モデル「フォトギャラリー」 勝ったのは日本。しかし、試合は立ち上がりから、ウズベキスタンのペースで進んでいた。 決定的なシュートチャンスこそ与えてはいなかったが、ボクシングにたとえるなら、ラウンドごとのポイントを相手に奪われ続ける苦しい展開。自陣に閉じ込められた日本は、敵陣にボールを運ぶことすらままならなかった。 キャプテンの藤田譲瑠チマは、「みんなに勝ちたいという気持ちがあったので耐えられたが、今日は本当にキツかった」と言い、こう続ける。 「相手も本当に能力が高くて、なかなかボールを奪えなかったし、奪ったあとも(ウズベキスタンの守備への)切り替えが速くて、なかなかボールをつなげなかったので、自分たちの時間が短かった」 公式記録によれば、この試合のシュート数はウズベキスタン18本(うち枠内シュート5本)に対し、日本は8本(同2本)。日本の苦戦は、はっきりと数字にも表われている。 だが、時間の経過とともにウズベキスタンの足が止まり、少しずつ試合の主導権は日本へと移っていく。 そして迎えた、後半アディショナルタイムの90+1分。 高井幸大が出足よくインターセプトしたボールを、藤田、荒木遼太郎とつなぎ、最後はフリーで前を向いた山田楓喜が、得意の左足でミドルシュートを叩き込んだ。 勝利を確信し、喜びを爆発させる日本の選手たち。 ところが、本当のクライマックスはまだ先に残されていた。
90+5分、左サイドからのクロスに対し、ヘディングで競り合った関根大輝の左手に、相手のヘディングシュートが当たってしまう。 試合はそのまま流れたが、「正直、当たっちゃったなという感触はあった」と関根。結局、VARが介入して試合が止まり、オンフィールドレビューの結果、ウズベキスタンにPKが与えられた。 虎の子の1点リードがフイになってしまう大ピンチ。関根は「あとは玲央くんが止めてくれるのを祈っていた」というが、当のGK、小久保玲央ブライアンは「ぶっちゃけ、自信はあんまりなかった」。 その一方で、小久保は、「(PKキッカーには)こういう特徴があるというのは、(GKコーチも含めて)いろいろリサーチしていた」。相手のキックの方向を完全に読みきった守護神のスーパーセーブが、ウズベキスタンの最後の望みを打ち砕いた。 小久保が笑顔で述懐する。 「あそこで(止めた瞬間に)感情的になっちゃうと、その後(すぐに相手の)CKがあったので。一回落ち着いたタイミングで喜び、叫んだ」 PK直後に続いたCKを防ぎきると、あらためて日本の選手たちが小久保を称えた。 事実上、勝利の女神が日本に微笑んだ瞬間だった。 日本が今大会を制することができた要因はいくつかあるが(もちろん、そのなかには運もある)、あえて絞れば、主に2つ。「選手層の厚さ」と「一貫した戦い方」が挙げられる。 選手層の厚さについては、細かく説明するまでもないだろう。 グループリーグから選手をローテーション起用することで疲労を分散させ、余力を残した状態で決勝トーナメントへ。一発勝負となる準々決勝以降は、ある程度先発メンバーが固定されてはいたが、交代選手が貴重な働きをするという意味では、選手層の厚さが日本の勝利を大きく後押ししたことは間違いない。 事実、決勝で値千金の決勝ゴールを生み出したのは、ともに途中出場の荒木と山田楓の連係である。 キャプテンの藤田が振り返る。 「途中から出てくる選手も本当に勢いのある選手ばかりで、今回も楓喜が途中から出てきて点を決めた。流れを変えられる選手がたくさん出てきたなという印象はすごくある」