「茶道」で座った時に手を重ね、膝に置く姿は清楚さと好感を周囲に与える。お茶を学ぶ人だけが身に付けられる<美しい所作>とは
世界的にも情勢が安定せず、厳しい環境に置かれている人や不安な心でいる人が多い中、あらためて日本文化の良さの学び直しを提唱するのは、茶道家の竹田理絵さん。茶室を開設して10ヵ国以上の国々で点前を披露し、日本の伝統文化を伝えてきた竹田さんいわく、「置かれた環境に左右されることなく、心穏やかに日々を過ごす」考え方が、茶道を通じて得ることができるとのこと。清楚さや美しさが生まれる、日常生活に取り入れられる茶道の「所作」とは――。 【書影】『「お茶」を学ぶ人だけが知っている 凛として美しい内面の磨き方』 * * * * * * * ◆手を膝の上で組む(重ねる) 電車や待合所などで座った時の手の置き場所、どうしていますか? 茶道では、お客様は必ず、膝の上で手を組んで座ります。 裏千家の茶道では、国際標準のマナー(右手の上に左手を重ねます。古来より右手は武器を持つ手で、その右手を左手で抑えることで、相手に敵意のないことを表します)とは反対に、左手の上に右手を重ねます。 それは、裏千家十四代家元の無限斎(1893~1964)が、座禅における手の組み方をひっくり返した形が、右手が上になることから定めたものです。茶道と禅は密接に結びついているため、手の組み方の中にも禅の精神を取り入れたのです。 座った時に、手を組んで膝に置く姿は清楚さを感じ、好感をもたれます。マナーの上からも、ぜひ習慣にしてみてください。
◆一本の線上を伝うように歩く ふだん、自分がどのような歩き方をしているのか、意識したことはありますか? 姿勢や歩き方は、その人の第一印象を大きく左右します。 茶道では、お点前と共に、歩き方にも約束事があります。 ですから初めのうちは、皆ぎこちなく、まるで漫画の泥棒のように抜き足差し足で歩いたり、よろけたりして、茶室の中で自分の歩き方に笑ってしまう方もいます。 静けさを旨とする茶道では、音を立てない歩き方はとても大切です。内股をつけてひざの間を開けないように、すり足ぎみで一本の線上を伝うように歩くのがポイントです。 その歩き方は、ファッションモデルがランウェイで歩く姿にも似て、とても美しく見えます。ファッションモデルも、ひざの内側を軽く擦るように交互にクロスさせて、一本の線上を意識するように歩いています。
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