櫻坂46、Number_i、imase & なとり、Perfume、三代目 J SOUL BROTHERS、eill……注目新譜6作をレビュー
Perfume「IMA IMA IMA」 結成25周年、メジャーデビュー20周年を記念したコンセプトアルバム『ネビュラロマンス 前篇』収録曲。9月21日に行われたライブパフォーマンスの名前を冠した曲でもあるので、過去と未来を繋ぐ、まさに“いま”のテーマソングなのだろう。80年代のシンセサイザーを意識した妙に懐かしいテクノポップ風のトラックと、ヒトから造られたアバターのような主人公がダウンロードひとつで現実世界に出現するストーリー展開。〈魔法みたいなものでしょ/いつか解けるまでは いさせてよ〉という歌詞は、ブレイク真っ最中の新人にはまず歌えないもの。特異なコンセプトを持続、洗練させてきた彼女たちだからこそ、この歌詞も刹那的には響かないのだ。(石井) 三代目 J SOUL BROTHERS「Baby don’t cry」 2024年第2弾となるデジタルシングル。第1弾シングルだった「BLAZE」がストロングなヒップホップ系だったのに対し、こちらは別れのシーンをしみじみと描写するバラード。楽曲のベースにあるのはソウルやR&Bであり、歌詞に気の利いた押韻もたくさんあるが、〈跡が残った左手のリング〉〈離したくないけど/今更戻れない〉といった歌詞でちぎれる心を歌い上げる曲なので、このグループが持つ歌謡の詩情、のようなものが改めて強く感じられる。音数はあまり多くなく、ループするスネアやベースラインが軸。ただし、随所に挿入されるアコースティックギターの響き、後半に出てくるバイオリンの音色が、ドラマチックな見せ場を作っている。(石井) eill「革命前夜」 ソウル、R&B、K-POPなどをルーツに持ちながら独創的なポップネスを体現しているシンガーソングライター、eill。2ndアルバム『my dream box』から先行配信された「革命前夜」は、月9ドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)主題歌。80年代のエレクトロポップを想起させるトラックを現代的なポップミュージックへと昇華させたこの曲で彼女は、思い通りにいかない日常を抜け出し、ワクワクするような明日へと踏み出すときの高揚感を鮮やかに歌い上げている。レトロモダンな音像、タイムレスな題材を融合させた、即時性と普遍性を併せ持ったナンバーと言えるだろう。無機的なビートを乗りこなし、日本語を気持ちよくグルーヴさせるボーカル表現にも注目してほしい。(森)
石井恵梨子