住まい再建阻む建設費高騰…能登地震半年経ても尽きぬ不安 被災者9割「地元に愛着」
また、仮設住宅では話し声や生活音が響き、「周囲に迷惑をかけないよう気を使う」(珠洲市の65歳女性)との声も。「とにかく寂しい。ずっとテレビをつけている」(七尾市の76歳女性)など孤立感を訴える人もいた。
■互助関係維持し、孤独死防止を
立木茂雄・同志社大社会学部教授(福祉防災学)の話
能登半島地震を巡るアンケートからは、仮設住宅を退去した後の住まいについて、被災者の半数ほどは、住居の自力再建が念頭にないことが読み取れる。災害公営住宅が多くの人の受け皿になりそうだ。
仮設住宅での不安は「地域・近所との途絶」が1割で、困ったことで「孤独感・孤立感」は1割に満たない。孤立に対する心配が少ないことは特筆すべきだ。
地震後に現地を訪れた際、1カ所の仮設住宅団地に地域単位で入った事例を確認し、行政側が配慮して入居を進めていると感じた。地域コミュニティーの互助関係を保つことになり、今後懸念される孤独死などを防ぐ決め手になるだろう。
仮設団地に高齢者が集められ、訪問介護などのサービスが効率的に提供できる環境になった意味は大きい。これまで過疎集落では介護が必要でも、離れて暮らす子供の元に身を寄せるか、高齢者施設に入るかの選択に限られていたからだ。
災害公営住宅に移行する際、互助関係を維持し、コンパクトにまとまった地域を生み出せるのか、今が分水嶺(ぶんすいれい)だ。(聞き手 藤谷茂樹)