住まい再建阻む建設費高騰…能登地震半年経ても尽きぬ不安 被災者9割「地元に愛着」
職場が被災したケースも多く、10人が「仕事の継続、就職」を選んだ。輪島市の介護施設職員の女性(73)は勤務先が休業中で「いつ仕事を再開できるのか」と困惑。建設業の仕事をやめるという珠洲市の男性(46)は「職場が見つかるか不安」と明かす。
アンケートでは「地元に愛着があるか」との質問も実施した。迷う場合を想定して「どちらかというと」の選択肢も設けたが、明確に愛着があるとした回答が78人だった。迷った末に愛着があるとしたのは13人で、合わせて91人に上った。
愛着があると答えた輪島市の無職、山口波子さん(90)は「遠くに避難していても、地元が気になってしまう」と強調。珠洲市の高校1年、干場湧仁さん(15)は「大学卒業後は(地元に)戻りたい。親の近くで働けたら」と将来のUターンも視野に入れていた。
■「情報不足」に苦慮
仮設住宅の入居者100人には、入居後の困りごとについても複数回答で聞いた。情報不足や健康管理など回答は多岐にわたったが、最も多かったのは「ない」の35人。一定の入居者が平穏な生活を送っているようだ。
困りごとで多かったのが、復興状況や住まいの再建に関する「情報不足」で18人。自治体は情報発信にLINE(ライン)を活用しているが、「使いこなせない」(輪島市の73歳女性)など、高齢者を中心に苦慮する様子がうかがえた。
「健康・体調管理」は15人。能登町の無職女性(77)は、2次避難先で毎日1万歩近く歩いていたというが、入居後は「体を動かそうという気にならず体調が悪い」とこぼした。次いで「車などの移動手段」が14人で、輪島市の無職、岩崎ふじ子さん(82)は「買い物に徒歩で30分かかる」と嘆いた。
地震前の自宅に比べ手狭な仮設住宅にも13人が不満とした。穴水町の無職、中田隆義さん(72)は「兄の家に荷物を預けている」とし、夫や息子夫婦と同居する輪島市の80代女性は「みんなイライラしてけんかが増えた」と打ち明けた。