特産「大納言小豆」に異変 高温少雨影響?でさや付かず 生産者困惑「こんなこと初めて」/兵庫・丹波市
さやが膨らむ季節を迎えた兵庫県丹波市特産の「丹波大納言小豆」に異変が起こっている。開花期を終え、今月末に始まる収穫に向けて青々とした葉を茂らせ、株の出来は良いものの、肝心のさやがほとんど付いていない。県丹波農業改良普及センター、JA丹波ひかみは病気や害虫の影響ではなく、受粉不良とみている。原因の特定には至っていないが、真夏日が続く9月の異例の高気温と少雨が災いした可能性があると推測する。生産者は想定外の事態に困惑している。 「今更どうもできないが、ひどい。花が咲いた跡があるのにさやが付いていない」。JA丹波ひかみ丹波大納言小豆生産振興会長の中出靖大さん(45)=同市春日町=は嘆く。栽培25年、市内に6事業者しかない、同小豆の種子を生産する足立音三郎さん(83)=同市青垣町=も「こんなことは初めて。凶作」と諦めムード。「来年以降のことがある。原因を突き止めて対策を示してほしい」と訴える。
8月に雨が降らず、生育が遅れていたが、月末の台風10号で水をもらい、株は元気を取り戻していた。 同普及センターは、「品種が丹波大納言小豆ではなく、参考程度」と前置きした上で、1980年代に北海道の別品種の小豆で、気温が35度以上になるとさや付きが悪くなった、とする研究結果があるという。 9月は、2週目から35度を超える真夏日が20日までに10日あった。日最高気温は、月初めは平年値をやや上回る程度だったが、日を追うごとに平年値とのかい離が進み、日平均気温は26・7度で、平年値を4度も上回った。月雨量も平年値の217・6ミリに対して24ミリと、11%にとどまった。3―21日まで18日間、雨が降らなかった。
小豆は湿害に弱いが、育つために水はいる。同普及所は「9月はあまりにも雨が降らなさ過ぎた。夕立もなかった。極度の水不足がさや付きの悪さに影響しているかもしれない」と関係性を探る。 市内でさや付きの良いほ場を探し、生育環境や栽培管理を聞き取るほか、県立農林水産技術総合センター(加西市)を訪れ、来年以降の対策を考える。 作付け計画によると、今年度の市内の同小豆作付け面積は244ヘクタール。
丹波新聞社