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スペインの地域サッカー男子リーグで、トランスジェンダーの男性のみで構成されたチームが、9月21日にデビューを果たした。同様のチームがサッカー連盟に正式に加盟するのは、ヨーロッパで初だ。チームの公式ユニフォームにも注目が集まっている。 【画像】注目を集めたユニフォームがこちら

チーム名は「フェニックスFC」。バルセロナ郊外、サン・フェリウ・デ・ロブレガットが拠点で、カタルーニャ州北西部の5部リーグに加盟した。ユニフォームには、トランスジェンダー・フラッグのカラーが使われている。

スペインでは昨年、身分証明書の性別など法的な性自認の変更を自己申告のみで可能にする、トランスジェンダーの権利保障法案が可決された。それでも、偏見は根深い。 ロイター通信によると、2023年にカタルーニャ州で発生したLGBTに対する差別や暴力事件は、302件。その4分の1はトランスジェンダーが標的だった。 なかでも、男子プロサッカー界はLGBTに対し「特別に不寛容」だと、スペインで少年サッカーを指導した経験を持つスポーツライターの木村浩嗣（きむら ひろつぐ）氏は、footballistaで指摘している。 「スタジアムでは同性愛者への最悪の罵倒語が今でも聞かれるし、ファンが根性を見せろと選手に要求する際には『タマを出せ！』という表現が普通に使われる。（中略）ファンの集団心理は普段は隠している偏見や差別を解放する」

フェニックスFCには、ホルモン療法を開始してから女子サッカーチームに所属できなくなった選手や、シス男性と一緒のチームでプレーすることにためらいがあった選手などがいる。 彼らも他の選手やコーチ、保護者たちから侮辱的な言葉を浴びせられたことがあるという。 フェニックスのシーズン初戦は19対0の大敗に終わったが、選手やファンたちにとって、戦績よりもチームの存在そのものが重要だ。 キャプテンのルーク・イバニェス選手（19）は、次のように語った。 「フェニックスは、トランス男性のみチームですが、それ以上に家族であり、好きなように自分を表現できる安全で自由な居場所です」