一段と緩慢なペースでの米利下げを支持-カンザスシティー連銀総裁
(ブルームバーグ): 米カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は21日、米金融当局として最終的にどこまで低く利下げすべきか不透明な状況を踏まえ、一段と緩慢なペースでの利下げを支持する考えを示した。
シュミッド総裁は8月以来となる公の発言で、金融当局が経済成長と安定的な物価、完全雇用を持続させるため、「穏当な」調整を行う「一段と正常化された」政策サイクルが望ましいと語った。
利下げのペースをゆっくりめとすることで、景気を刺激も抑制もしない中立の水準を金融当局が見つけるのが可能になるとも話した。
その上で、「大きなショックがなければ、こうしたサイクルを達成することができると楽観しているものの、そのためは慎重で漸進的な政策アプローチが必要になると考えられる」と、ミズーリ州カンザスシティーでのイベント向けに準備した講演テキストで指摘した。
「景気抑制の程度を巻き戻すことを支持するものの、特に政策の最終的な到達点を巡る不透明感や、金融市場のボラティリティー上昇を促すのは避けたいという自分の希望を踏まえ、特大の動きは回避したい考えだ」とコメントした。
シュミッド総裁は米労働市場について、「われわれが目にしているのは著しい状況悪化というよりも正常化だと、私は解釈している」とした上で、雇用者はもはや新型コロナウイルス禍直後のように労働者を競って採用する必要性を感じておらず、雇用ペースは比較的緩やかになっていると指摘した。
「これを総合すると、雇用者がこうした調整を行うことで、労働市場には少なくとも一時的に緩みが生じるだろう」と語った。
シュミッド総裁はこのほか、コロナ禍前を「大幅に上回る」水準に金利が落ち着くとの見通しを表明。こうした変化は生産性向上や投資、政府債務残高の増加が誘因となる可能性があるとし、人口高齢化といった、コロナ禍前から変わっていない構造的要因にも言及した。
「生産性と債務、人口動態などの要因のうち、どれが支配的になるか判断するのは困難だが、パンデミック(世界的大流行)前よりも高い水準に金利が落ち着く可能性にオープンでなければならない」との考えを示した。