ゴッホとゴーギャンは仲良しだった?二人の関係に焦点を当てた展覧会を開催
19世紀末に活躍したポスト印象派の巨匠、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)とポール・ゴーギャン(1848-1903)は、1888年に南仏アルルで共同生活をするほど仲がよかった。 二人は画家としてはまだ駆け出しだった1887年にパリで出会い、意気投合。ゴッホがゴーギャンをアルルに誘い、共同生活が始まった。日常の現実的な風景を好み描いたゴッホに対し、ゴーギャンは記憶と幻想を織り交ぜた自由な想像力をはばたかせた。同じ風景を見ていても、二人が心のフィルターを通してキャンバスに映し出された風景は異なっていた。お互いを賞賛し合いながらも、ときには意見がぶつかりあった。
「リアリティー(現実)」と「イマジネーション(想像)」は、二人の巨匠を語るうえで、忘れてはならないキーワードだ。 写真左がゴッホの描いた≪収穫≫。移りゆく季節と共に変化する小麦の様子が、ゴッホの大きな関心事であり、テーマだった。「ほかのすべての作品を完全に圧倒する」(書簡625)と自画自賛する作品。 一方、写真右はゴーギャンの≪ブドウの収穫、人間の悲惨≫。ワイン用のブドウの収穫について描いた作品だが、そこにはいないはずの人物や子どもの頃、家族とともに住んでいた南米・ペルーのポーズをし、悲嘆に暮れる女性が描かれている。「このブドウ園の風景はアルルで目にしたものだ。そこにブルターニュの女性を配した。実際にないことだがかまわない。今年の最高傑作だ。乾いたらすぐにパリに送る予定だ」と手紙に記されていた。 強く刺激を受けあい、互いの技法を試し、影響しあった二人だったが、芸術感や性格の違いから共同生活はわずか2カ月間で幕を閉じた。
精神障害の発作で苦しんでいたゴッホはアルルから離れた療養院に入院し、ゴーギャンはパリに戻ったのち、フランス北西部のブルターニュへ赴き、画家のエミール・ベルナールを交え、書簡を通じて交流が続けられたという。 1890年7月27日にゴッホは拳銃自殺を図り、その2日後息を引きとる。二人はアルルで別れてから、もう二度と会うことはなかった。 写真左は共同生活が破たんする前にゴッホが描いた≪ゴーギャンの椅子≫。ゴーギャンの肖像画と位置付けられてもいい作品だ。 写真右はゴッホの死から11年後に、ゴーギャンはタヒチで≪肘掛け椅子のひまわり≫を描いた。タヒチにはなかったひまわりの種を友人に頼んでヨーロッパから取り寄せたのだ。ひまわりは言わずと知れたゴッホのモチーフ。晩年のゴーギャンは腕を磨き合ったかつての友人・ゴッホを想いこの作品を描いたのだろう。 ■ゴッホとゴーギャン展■ 【東京展】東京都美術館(台東区上野公園8-36)にて、2016年10月8日(土)~12月18日(日)開催 開室時間:午前9時30分~午後5時30分(金曜日は午後8時まで)※入室は閉室の30分前まで、休室日:月曜日、10月11日(火)※ただし10月10日(月・祝)は開室、入場券: 一般1600円(1300円) / 大学生・専門学校生1300円(1100円) / 高校生 800円(600円) / 65歳以上 1000円(800円)※( )は前売り券と団体券の料金※団体割引の対象は20名以上 、※中学生以下は無料※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料※いずれも証明できるものをご持参ください 。詳細は展覧会公式サイトまで。