中国は17日、総合的な不動産支援策を発表。最大1兆元（約22兆円）の資金調達を促進し、住宅ローン規制を緩和する。また地方政府が「一部の」マンションを買い取ることを認める方針も示した。住宅行政を担当する政府機関は、今回の政策は住宅業界にとって「歴史的瞬間」だと自賛した。にもかかわらず週明け20日の株式市場で、不動産セクターは急反落した。いったいなぜなのか。 中国不動産セクターの株価は20日ぐらついた。市場は、危機に見舞われた不動産セクターに対する当局の支援策への懸念をあらわにした。支援策が、不動産需要の喚起と信頼回復に向けた、持続可能な好転をもたらすには程遠いと見みようだ。 香港のハンセン本土系不動産株は0.7％下落した。共産党中央委員会政治局が4月に、住宅在庫解消に取り組む方針を方針を示して以来、今月はこれまでにおよそ18％上昇していた。佳兆業集団や世茂集団は、それぞれ10％超下落した。 中国は17日、総合的な不動産支援策を発表。最大1兆元（約22兆円）の資金調達を促進し、住宅ローン規制を緩和する。また地方政府が「一部の」マンションを買い取ることを認める方針も示した。 中国人民銀行（中央銀行）は国有企業向けに約6兆5000億円規模の融資枠を設けると発表した。これは国有企業が、完成済みおよび売れ残りの住宅を「妥当な価格」で購入することを支援するものだ。人民銀は、この再融資プログラムによって691億ドル（約10兆8000億円）相当の銀行融資が行われると見込んでいる。 17日の発表は、過去2年にわたり住宅セクターに対する一連の支援策の失敗を受けたものだ。かつて国内総生産の4分の1を占めていた住宅セクターは、現在も中国経済の大きな足かせとなっている。住宅行政を担当する政府機関は、今回の政策は住宅業界にとって「歴史的瞬間」だと自賛した。 だが多くの中国ウォッチャーの評価はより慎重だ。専門家は、買い手として問題に介入しようという中央政府の決定は重要な一歩だと評価した。しかし融資の規模は、中国全土に数兆元相当あると推定される住宅在庫に比べれば微々たるものだと指摘した。 専門家は住宅購入者の信頼回復が、不動産回復の鍵であると述べている。しかしある市場関係者は、今回の措置に動かされる事業体はほとんどないだろうと指摘。この市場関係者は、多くの潜在的な購入者が将来の仕事や収入に不安を抱いており、不動産に対する需要は弱いと述べた。