パリ五輪だけどサーフィンはタヒチの海で…「波のトンネル」攻略がカギ〈関西発 月イチ! SPORTS〉
約1か月半後の7月26日に開幕するパリ五輪で、サーフィンは仏領ポリネシア・タヒチ島の村「チョープー」で実施される。南太平洋でパリのほぼ裏側に位置し、波は巨大で世界屈指の難度と言われる。本番に向けて、採点の方法などについて、日本サーフィン連盟でジャッジ委員長や競技本部長を歴任した立山勝己さんに聞いた。(後藤静華)
パリ五輪の日本代表は、計4人。男子は初採用だった2021年東京五輪で銀メダルの五十嵐カノア(26)、豪州出身のコナー・オレアリー(30)、稲葉玲王(れお)(27)の3選手で、女子は松田詩野選手(21)が代表入りした。オレアリー選手は「チョープーは得意な場所で、リラックスして臨めると思う。メダルを取って帰ってきたい」と話す。
パリ五輪は男女各24人が出場。1回戦は3人1組で対戦し、制限時間(東京五輪は原則30分程度)の中で、何度でもライディングできる。複数の審判が1本ごとに採点し、高得点2本の合計で順位を決める。多くの波に乗ればいいのではなく、大事なのは技の難易度や質。ボードの裏側が見えるほど深く大きなターンができていたり、左右で速いライディングだったりすると、評価は高くなる。
ただ、一つ一つの技に決まった点数はない。立山さんによると「審判それぞれの感覚に基づく部分も多い。波の条件も考慮しながら採点していく」。たとえ高難度でも同じ技を繰り返していては得点は上がらず、独創性や構成力もチェックするという。
「チューブ」に美しく入り、崩れず出られるか
会場となるチョープーは、トンネルのようにうねる「チューブ」と呼ばれる波が最大の特徴だ。ポイントは、いかに美しくチューブに入り、崩されることなく出てこられるか。チューブ内での滞在時間も得点を左右する。立山さんは「パリ五輪は、技を次々と繰り出すような展開にはならないだろう。チューブを制した者が勝つ」と予想する。
チューブの中でバランスを保つためには、パワーが必要。立山さんは特に、体格に恵まれたオレアリー選手に期待し「適性は、十分にある」と見る。