東京五輪を担う次の侍ジャパン監督は誰が適任か?
広岡氏の考えはシンプルだが、球界内にも「日本一監督に任せてみれば」という意見が意外に多い。 この考え方からいくと、広岡氏の言うように、今回のWBCで指揮を執るのは、日本シリーズを制した日ハムの栗山英樹監督(55)ということになっていた。 ただ侍ジャパンが続けて「常設」というコンセプトを掲げている以上、現役監督の兼任や、その年その年の日本シリーズの結果を受けて監督が変動するパターンは、GM制度を導入しない限り、現実問題としては難しいのかもしれない。 そうなると監督候補は限られてくる。 今回、小久保監督は、勝負に徹すると起用法が偏り、各チームから集まっている選手に出場機会を与えることができなくなる、というような苦悩を抱えていたようだが、それもNPBでの監督経験がないことからくるもの。本来の代表チームとは、そんな遠慮などいらない集団でなければならない。 小久保監督を“反面教師”に勝負どころでの采配も含めて、NPBでの監督としての実績があることは必須条件となるだろう。そして、欲を言えば、鋭い勝負勘と国際経験もプラスされれば申し分がない。 そうなると、小久保監督と同じく、監督未経験の松井氏らは、メジャー経験を買われてスタッフとしての入閣はあっても、監督としては起用はむずかしくなるのかもしれない。そしてコーチングスタッフを集めるための豊富な人脈も必要。またもうひとつ重要なのは、世代別の侍ジャパンなど4年前に創設された代表チームの意義と、その日本の野球界における役割を理解して、その普及活動などに貢献できること。侍ジャパンの“顔”となるスター性も求められる。 条件を絞り込んでいくと、必然、人物は絞られてきそうだが、監督人選と同時にコーチングスタッフも重要で、独特のルールなどがある五輪出場経験のある人物や、東京五輪には出場してこないだろうが、最終的にメジャー軍団が日本の最大の敵となるならば、その敵を知る松井氏や、元ドジャース、ヤンキースでプレーした前広島の黒田博樹氏、野茂英雄氏のようなメジャー経験者を入れておく必要があるだろう。 そして、それらの人選は“密室”で行わずに関係者及びファンに対してガラス張りにして活発な議論を行う必要がありそうだ。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)