五輪銅メダリストの清水がプロテスト合格 「村田より先に世界王者になる」
ロンドン五輪のボクシングバンタム級、銅メダリストの清水聡(30、大橋ジム)が29日、後楽園ホールでプロテストを受験、同じジムの前日本フェザー級王者の細野悟(32)とスパーリングテストを行い、B級ライセンスに合格した。清水は、9月4日にWB0世界Sフライ級王者、井上尚弥の前座カードで、韓国の国内王者を相手にプロデビュー戦を戦う。 プロテストはペーパーと実戦の2種類があり、清水は同門の細野と3ラウンドのスパーを戦った。両者は、これまで、ジム内でマスボクシング程度で拳を交えたことはあったが、大橋会長に「ガチンコでいけ!」とハッパをかけられ、まさに真剣勝負。サウスポーの清水は、1m79cmもある長身を生かし、右のスピードのあるジャブで距離をとって細野をインサイドに入れさせない。体の位置をずらしながら左ストレートを放つなど、“30歳のルーキー”らしいテクニックを見せつける。プレッシャーを受けても体をうまく入れ替えてパンチを放った。まるでプロで何年もやっているかのような身のこなしである。 3ラウンドに入って遠慮気味だった細野がようやく前に出たが、それも右のリードでいなしながら、細野にロープを背負わせて左ストレートを叩きこむと「おお!」と観戦していた他のプロテスト生から、どよめきの声をあがった。ただ、アマチュアの癖が抜けきれないのか、右のフックは、ナックルで打てず、ガードも含めたディフェンス技術は甘いため、パンチをもらう危険性は垣間見えた。それでも背が高い割に肉体の上下のバランスの良さが目を引き、まったく危なげない内容でプロテストを終えると、すぐさまB級ライセンス合格がJBCから発表された。 合格証書を手にした清水は、「無事に受かってよかった。ほんと落ちなくて(笑)。お客さんはいないが、選手が見ているという独特の空間で緊張した」と、ほっとした表情を浮かべた。 そしてプロアマの違いについて、「ボクシング自体の動きは一緒だが、ガードの位置であったり、長丁場のラウンドで休んだりと、オンオフの使いわけが大事になってくると思う。きょうは細野さんとやれたことですごく勉強になった。プロは巧みな選手が多いし対応力を身につけていきたい」と語った。