中国自動車市場で「ADAS」普及が次の台風の目に 広汽アイオン、330万円の新型EVにLiDAR搭載
中国の自動車市場で先進運転支援システム(ADAS)を搭載する新型車が、従来よりも低価格のカテゴリーに広がりつつある。 【写真】小鵬汽車の新型EV「MONA M03」はカメラ式のADASを搭載した。 国有自動車大手、広州汽車集団の傘下のEV(電気自動車)メーカーである広汽埃安(広汽アイオン)は9月26日、新型セダン「AION RT」の販売予約の受け付けを開始。市街地の一般道にも対応可能なADASを搭載するグレードの予約価格を15万9800元(約330万円)に設定した。 「市場のボリュームゾーンである10万元(約206万円)から18万元(約371万円)までの価格帯で、ADASを搭載したクルマは1%にも満たない。自動車ユーザーは技術進歩の恩恵にもっと浴するべきであり、広汽アイオンはADASの本格普及に貢献したい」
広汽アイオンの肖勇・副総経理(副社長に相当)は、AION RTの販売予約の発表会でそう意気込みを述べた。 ■小鵬汽車はカメラ式採用 1か月前の8月27日には、新興EVメーカーの小鵬汽車(シャオペン)が「20万元(約413万円)以下で唯一のADAS搭載車」をうたい文句に新型セダン「MONA M03」を発表。ベースグレードの希望価格は11万9800元(約247万円)からと、AION RTよりも安い。 ただし、小鵬汽車はADASのコストを抑えるため、MONA M03にレーザー光を用いた3次元センサーのLiDAR(ライダー)を搭載せず、主にカメラの画像情報に頼る方式を選択した。
それに対し、AION RTはこれまで20万元を超えるクラスに搭載されていたものと同等の、LiDARを含むADASを採用した。広汽アイオンの肖副総経理によれば、現在利用できる技術でスムーズかつ安全なADASを実現するには、LiDARが欠かせないという。 「AION RTにはLiDARとともに、エヌビディアの自動運転向け半導体『Orin(オーリン)』を採用した。この組み合わせは高級車用のADASにまったく引けを取らないものだ」