こんなに働いてきて、まだ働かなきゃいけないんでしょうか…。勤続41年・64歳会社員、コツコツ貯めた「貯金2,000万円」で幸せな老後に夢膨らませるも、背後に迫り来る「老後破綻の影」【FPの助言】
老後資金としていくら必要になるかは人それぞれ。どの家庭でも「我が家はこれぐらいあれば足りるかな」と考えながらお金の準備をしているのではないでしょうか。しかし、そうした計算を大きく狂わせるのが「物価の上昇」。今年の5月には「老後には4,000万円必要」という衝撃的なニュースも報道され不安が広がりました。そこで今回は、年金生活が始まるまでに2,000万円貯めた大橋さん夫婦を事例に、老後資金計画の落とし穴について南真理FPがアドバイスを交えて解説します。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
老後資金の準備はバッチリ!晴れて仕事から解放されるはずだったが…
大橋秀夫さん(64歳)は来年3月末に継続雇用されていた会社を退職する予定で、いよいよ年金生活がスタートします。これまでは仕事漬けの人生。老後は妻桃子さん(64歳)と家でゆっくり過ごしたり旅行やゴルフを楽しんだり……そんな生活が始まるのを心から楽しみにしていました。 「これまでは仕事のストレスで休日を心から楽しむこともできなかった。でも、そんな生活もあと少しでお別れだ。これでようやく自由になれる」 営業一筋41年。とはいえ仕事が好きなわけではなく、生きるために仕事を頑張ってきました。大橋さんはこれまで数十年に渡って続けてきた会社員生活が終わることが嬉しくてたまりません。このように悠々自適に老後生活を楽しもうと思えるのも、現役時代にコツコツ貯めた2,000万円があるからこそです。 実は、大橋さんは60歳で仕事を辞めたいと思っていました。しかし、「老後は夫婦で2,000万円必要」というニュースを見て、その考えを改めたのです。老後に貧しい生活をして暮らすのは嫌だ。だったら身体が動く今頑張ろうと65歳まで働き、節約も頑張って貯金を増やしたのでした。 しかしある日、妻の桃子さんから「ここ数年で食料品や日用品の値段が上がっているでしょ。年金と今の貯蓄で本当に老後生活を安心して過ごしていけるのかしら」と、言われハッとしました。 確かにここ数年色々なものが値上がりしている感覚はありましたが、どこか他人ごとだった大橋さん。妻の一言をきっかけに、老後資金は本当に十分なのだろうかと、急に不安に感じ始めました。 「2,000万円もあるんだ、大丈夫に決まってる。でも念のため…」こうして大橋さん夫婦は、ファイナンシャルプランナー(以下、FP)に今後のライフプランについて相談することにしました。 【相談者プロフィール】 大橋秀夫さん(64歳):会社員。来年3月退職予定。 大橋桃子さん(64歳):無職(以前はパートで夫の扶養内で勤務) ---------------------------------------- 〈65歳からの大橋さん夫婦の年金受給額〉 ・世帯の年金合計:228万円(手取り年208万円、月約17万円) ・大橋さん年金:147万円 ・妻 桃子さん年金:81万円 ---------------------------------------- 〈65歳からの大橋さん夫婦の支出予定額〉 ・世帯の年間支出合計:273万円 ・生活費(食費、日用品費、光熱費、通信費):年144万円 ・住居費:年9万円 ・保険料:年12万円 ・車輛費:年22万円 ・娯楽費等:年86万円 ---------------------------------------- 〈娯楽費内訳〉 ・旅行代:年20万円 ・ゴルフ代:年36万円 ・孫にかかる費用:年30万円 ※娯楽費等は大橋さん夫婦75歳までかかる支出として予定。
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