インバウンド誘致の「勝ち組」「負け組」にくっきり差…人気がない名古屋・神戸は「夏休み」の狙い目?
例えば、筆者が今年3月に訪れた鹿児島は、人気観光地の仙厳園や桜島などで、アジア系より欧米系の旅行者が明らかに多かった。その理由として、現地のホテルで「クルーズ船の乗客」と聞いた。他の都市に多い台湾人旅行客がいないと思ったら、鹿児島への直行便が当時まだなかった。 韓国・台湾など東アジアからのインバウンドは、直行便利用の短期滞在が多い。近ごろはチャーター便の運航も盛んだが、定期便かつ直行便の就航地はある程度参考になる。 ◆今年の夏休みは「インバウンドに人気の都市を避ける」が鉄則!? インバウンドが多いと、国内ホテルの宿泊価格も高騰する。昨今、旅行や出張などで、国内ホテルの高さに頭を悩ませている人は多いはずだ。少しでもリーズナブルに、そして混雑から避けるには「インバウンドに人気の都市を避ける」のは、まず鉄則だろう。 先に挙げた就航都市はインバウンドが多く、ホテルなどがすでに高い可能性がある。大都市ならホテルの数がまだ多いが、地方都市だと数自体が少ないので、安くておなじみのホテルチェーンでも高くなりがちだ。 観光庁が発表する宿泊旅行統計調査(’24年2月分、第2次速報値)によると、のべ宿泊者数を’19年同月で比べた結果、都道府県別で少ないのが、福井(-26.9%)、秋田(-21.3%)、福島(-18.6%)、岩手(-18.4%)、山梨(-18.3%)、宮崎(-16.1%)、佐賀(-13.9%)、山形(-11.7%)など。日本人との合計だが、これらの県はインバウンドも少なめと考えられる。 「車でしか行きづらい場所」も、インバウンドが少なくて狙い目。地方の不便な場所へ行けば行くほど、いまだ日本語しか通じない場所も多い。あえて外国語を表記していない宿泊施設や飲食店なども少なからずある。ホテルや旅館の予約で、公式サイトが日本語のみだったり、「エクスペディア」「Booking.com」(ブッキングドットコム)など海外OTA(オンライン旅行代理店)での予約取り扱いがなかったりする宿泊施設も、インバウンドには予約しづらいので、そこで探してみるのも手だ。 もし車が運転できないなら、路線バスの活用もおすすめ。地方の路線バスは、言葉の壁もあってインバウンドには利用するハードルが高い。日本人だと言葉が通じるため、トラブルなどに遭ってもすぐ相談できる。 自分の旅行スタイルを、これを機に少し変えてみるのもいいだろう。ホテルから旅館・民宿、飛行機から鉄道・バスなど、国内旅行だとある程度の応用がきく。そんな旅を通じて、新たな発見もある。 インバウンドが想定するのは、交通手段や宿泊先などでまず「定番」のパターンだ。その定番をあえて避けることで、旅費の節約や混雑回避ができるかもしれない。夏休みの国内旅行を計画、予約する際の参考にしてみてほしい。 取材・文・写真:シカマアキ
FRIDAYデジタル