インバウンド誘致の「勝ち組」「負け組」にくっきり差…人気がない名古屋・神戸は「夏休み」の狙い目?
名古屋の7月の週末のホテル価格は、大阪・札幌の約半額!?
では、名古屋にインバウンドが全く来ていないかというと、実際そうでもない。中部国際空港(セントレア)が発表した’23年の年間航空旅客数(速報値)によると、国際線は257万人とコロナ後の需要回復で大幅増加し、’19年の63%の水準まで戻っている。韓国や台湾などを中心に再開し、新規就航も広がる。5月31日には、フィンエアーの名古屋-ヘルシンキ線が、週2便で運航再開した。 ただ、他の主要空港、羽田・成田、関西、福岡、新千歳などと比べると、まだまだ少ない。北米やオセアニアからの直行便はなく、ヨーロッパもフィンエアーが唯一で、中東路線も今はない。例えば、大阪でこの半年あまりで、ヨーロッパからの旅行者を多く見かけるようになったのは、既存のエミレーツ航空に加え、エティハド航空、ターキッシュ・エアラインズ、カタール航空と、中東系航空会社が次々就航したことが大きい。 名古屋中心部のホテルは、7月上旬の週末で、大手ビジネスホテルチェーンだと1泊2名で1万円ほど。札幌や大阪がおおよそ2万円なのと比べると安い。一方で、「白川郷や飛騨高山などが欧米を中心としたインバウンドに人気。その拠点として名古屋の宿泊需要が少なからずある。名古屋駅で乗り換えて特急ひだに乗るインバウンドも多い」とも聞く。つまり、名古屋はインバウンドの通過点で、観光目的となっていない現状も垣間見られる。 ◆国際線の直行便の有無で差がでる「地方都市」 ほかに、日本の都市部では、神戸や横浜なども、インバウンドが少なめだ。いずれも港町としての魅力はあるものの、兵庫県でインバウンドに人気が高いのが「姫路城」「神戸ビーフ」「灘五郷の日本酒」などで、神戸とエリアが異なり、わざわざ訪れる価値があるとも言い難い。横浜がある神奈川県も「高徳院(鎌倉大仏)」や「彫刻の森美術館」がある箱根方面のほうが、外国人観光客には人気が高い。 インバウンドが多い街と少ない街。その1つの基準として、国際線での「直行便」の有無がある。特に、地方空港が分かりやすい。以下、主な航空会社と、定期便の就航先を挙げてみた。 ■大韓航空〈韓国〉 札幌(新千歳)、青森、東京(羽田・成田)、新潟、名古屋(中部)、小松、大阪(関西)、岡山、福岡、鹿児島、那覇 ■ティーウェイ航空〈韓国〉 札幌(新千歳)、東京(成田)、富山、大阪(関西)、福岡、佐賀、熊本、那覇 ■タイガーエア台湾〈台湾〉 旭川、札幌(新千歳)、函館、花巻、秋田、仙台、福島、茨城、東京(羽田・成田)、新潟、小松、名古屋(中部)、大阪(関西)、岡山、高知、福岡、佐賀、那覇 ■スターラックス航空〈台湾) 札幌(新千歳)、函館、仙台、東京(成田)、名古屋(中部)、大阪(関西)、福岡、熊本、那覇 ■香港エクスプレス〈香港〉 東京(羽田・成田)、名古屋(中部)、大阪(関西)、高松、福岡、鹿児島、那覇 地方へ行くと、意外な都市でインバウンドが多いことがある。特に台湾人旅行客はいまや日本全国どこでもいると言えるほど見かけるが、さすがに直行便のない場所は少なめだ。