大反響だった北海道での「アドベンチャー・トラベル世界大会」、国内外の参加者に聞いた、高い評価とこれからの課題とは?
ATを北海道・日本に根付かせるために
ATWS2023を終えて、北海道・日本の参加者には、今後のAT普及に向けた気づきも多かったようだ。 北海道宝島旅行社の雨池氏は、地域と素材の編集を進めていく重要性を指摘。「アクティビティだけなく、ホテル、飲食店、商店街なども含めて地域全体で受け入れを考えていく必要があると思う」と話す。 また、北海道だけでなく、ゴールデンルートも含めて「オールジャパンで売りたい」というパイヤーの声がある中で、ATWSは道外のオペレーターとの関係構築の機会になったことも成果として挙げた。 四国でPSAを催行した四国ツアーズのロッド・ウォルターズ氏は、「高品質を維持しながら、アドベンチャー商品のポートフォリオを拡大する必要がある。適切な宿泊施設や交通手段の不足といった問題もある。さらに、四国でのAT需要の高まりに備えて若いガイドを育成する必要もある」と話す。 北海道アドベンチャートラベル協議会の荒井氏は、ATの普及に向けて、「わざわざ準備するのではなく、普段使い、日常のお裾分けのような考え方が必要ではないか」と提案する。そうすれば、ガイドの暮らしも地元の暮らしも、ATが日常の延長になり、コストも下がる。同協議会は、子供の頃から地元のATに親しむために、「北海道の子供が経験すべき自然百選」を展開しているという。 加えて、ガイドの力を普段の教育や福祉の分野に活かして、地域貢献に繋げていくアイデアも示す。「こういう関係を地域でつくれば、ガイドの運営コスト、教育や福祉のコストも下げられる」と期待を込める。 ATTAとATWS北海道実行委員会は大会後、北海道・日本のアドベンチャートラベルの地位確立に向けて共同ステートメントを国内外に発信した。事務局長の後藤氏は、「ATTAをはじめ、世界各国の関係者、道内外の関係者との関係を深化させながら、アドベンチャートラベルをしっかりと根付かせていく」と今後を見据える。 ATTAのピアソン氏は「ATを商業化しようとすると、デスティネーションに関係なく、経済性と地域性の維持とのバランスにおいて常に課題がある」と指摘。そのなかで、 北海道が恵まれているのは、その豊富なコンテンツに加えて、「政府・自治体からの支援だけでなく、ATを推進しようとする民間分野の情熱があることだ」と強調した。 北海道で生まれたATの胚芽は、日本で今後どのように育っていくのか。持続可能な観光に向けて挑戦は続く。 ※ドル円換算は1ドル148円でトラベルボイス編集部が算出
トラベルボイス編集部