中小企業は協同の時代へ 大阪八尾で経営改革案発表会
八尾市を拠点に活動する若手の経営者や経営管理層を鍛える実践型養成講座「環山楼塾」のイノベーションプラン発表会が開かれ、塾生たちが受講成果に基づく経営改革案を発表し、地元関係者らに協力支援を呼びかけた。企業理念の共有や人材育成が共通課題であることが浮き彫りになる一方、中小企業が業種を超えた地域連携で新たな社会ニーズに応えていく八尾モデル構築へ期待が広がった。 中小企業の存在感しめせ! 社会の課題解決型企業が大阪に大集合
毎日が学園祭の会社づくりを目指す
「環山楼塾」は、江戸期の八尾で豪商が設けた私塾「環山楼」の学びの精神を受け継ぐ次世代経営者養成講座。官民連携の運営で、百戦錬磨のベテラン経営者らが塾生たちを実践的に鍛え抜く。塾生よる経営改革案の発表は、1社当たりの持ち時間が15分。16社で計4時間におよぶ長丁場となった。 各プランが提案されるごとに、経営の専門家が評価や改善点などを簡潔に助言。来場者がプランを聞きながら協力できそうなポイントや取引先候補などの情報を書き込んだメモを、すばやく会場内に掲示するなど、プラン実現を後押しする意気込みが感じられた。 業種を問わず、もっとも多かった改革テーマは人づくり。人材の採用、育成、活性化に伴う課題解決プランが相次いだ。人づくりとともに、企業運営の前提となる企業理念の決定や共有がむずかしい現況も明らかになった。 大手企業と比べて中小企業は知名度が低いため、若い社員を採用しにくい。採用できても社員のモチベーションが高まらず、退職を招きかねない。貴重な成長株の退職すると、職場内の士気が下がり、会社発展の機運が盛り上がらない。 いかにして悪循環から脱出して、好循環へ転換するか。「新卒インターン向けPR動画を発信して採用力を強化する」「技術者が一人前に育つまでに時間がかかる。マニュアル作成や表彰制度で社員のモチベーションを高めたい」「技術を共有する実務研修を重視し、会社とともに成長できる人材を育てる」などの具体的な目標が披露された。 人材がそろっている場合でも、全員が個々の能力を開花させるのは、たやすいことではない。「わくわくしてみんなの力がひとつになる毎日が学園祭のような会社づくりを目指す」「法人化して売り上げが伸びた。次の飛躍に向けて足元を固めるため、社員全員参加で企業理念を構築し経営目標を決定したい」という熱い提案も印象的だった。