生物をミイラ化、おぞましい核の墓場、難破の名所など、世界の「不気味な湖」5選
スペリオル湖、米国
スペリオル湖は他の五大湖とは異なり、晩秋に悪天候に見舞われる。11月になると、猛烈な強風や吹雪で船が高波に隠れて見えなくなるほどだ。 エドモンド・フィッツジェラルド号の事故は特に有名で、五大湖を象徴する難破船だ。船は水深150メートルあたりに沈んでいるが、事故で亡くなった人々の墓地と考える人もおり、この場所への立ち入りは禁止されている。 ほかに、ロイヤル島沖で姿を消したカムループス号の沈没場所のように、訪れようと思えば訪れられる場所もある。カムループス号は岩場に衝突して沈没し、その後しばらく経ってから島の岸沿いで乗務員が発見された。全員凍死だった。 1977年、沈没した船体が発見され、調査が始まった。そこで一人の遺体が発見された。「オールド・ホワイティ」と名付けられたこの遺体は、カムループス号のボイラー室に浮かんでいた。ダイバーのフィンが生み出す水流で遺体が動き、ダイバーにつきまとうかのように見えたという。
バイカル湖、ロシア
私が特に気に入っている湖だ。バイカル湖こそ、地球上で最も奇妙な湖だ。 世界最古の湖であり、最も深い淡水湖でもある。最大水深は1600メートル以上で、ほかの湖よりもはるかに深く、長い間その深さを保ち続けているのがすごい(編注:湖の地質に詳しくない方のために説明すると、湖は時間が経つにつれ浅くなる傾向がある)。 バイカル湖に流れ込む川は300を超えるが、その堆積物で湖が埋まったことはいまだかつてない。それは、この湖が地溝という裂け目の上に位置し、堆積物がそこに吸い込まれてしまうからだ。バイカル湖を支えるこの地溝の底は、世界で最も「深い場所」の1つかもしれない。
ボストーク湖、南極
厚さ約3キロメートルの氷の下にある湖だ。想像すらできない、なんて魅力的な場所にあるのだろう。氷の圧力と、おそらく何らかのガスハイドレート(ガスと水からなる氷状の結晶)あるいは湖底の地熱活動によって作られる淡水湖だ。 20年以上にわたって、ロシアの科学者は氷を掘削して穴をあけ、湖に到達しようとしてきたが、なかなかうまくいかなかったという。氷に穴をあけると、水が穴の中に逆流してきて凍ってしまうからだ。なんとも不思議で面白い話だと思う。
文=Sarah Gibbens/訳=夏村貴子