【人はどこまで悪趣味になるのか?】AIを使って故人を蘇らせる生成ゴーストが急増!SNSのネタとして消費される死者
■ DALL-EではダメなのにGrokでは描けてしまうこのふたり いまChatGPTの画像生成AIであるDALL-Eに対し、「握手するプーチンとイーロン・マスク」という絵を描かせようとすると、「申し訳ありませんが、リクエストされた画像は当社のコンテンツポリシーにより生成できませんでした。ほかにお手伝いできることがあればお知らせください」といったエラーメッセージが表示され、画像は生成されない。 ところが、Grokに同じプロンプトを投稿すると、こんな反応が返って来る。 そう、生成できてしまうのだ。いくら生成AIといっても、参考となる画像がなければ無理なので、こうした指示が可能なのは著名人に限られる(指示は入力できるが本人に似せることはできない)。ただ、ネット上に無数の画像がある著名人であれば、このくらい精度の高い絵を生成できるのである。 この無制限状態から懸念されることの一つは、ご想像の通り、フェイク画像の拡散だ。 先ほどの「握手するプーチンとイーロン・マスク」はもちろん嘘であり、このような場面が実際にあったわけではない。悪趣味な画像を生成してしまったことをお詫びするが、筆者はこの画像を「事実」としてX上に投稿するなどということはしていない。だが、悪意のある人物であれば、簡単にそのような行為ができてしまうだろう。 今回取り上げたいのは、そうしたフェイクの危機ではない。意外な形で、このGrokの画像生成が炎上する事件が起きたのである。
■ Grokで「再会」したダイアナ妃と王子たち 問題の画像(動画)を生成したのは、Min Choiと名乗るXユーザー。「AI教育者」を名乗る彼はGrokを称賛し、「いまフォトリアリスティック(写真のように精巧)な人物像を生成できる最高のAI画像モデルだ」として、その実力を証明するための一連の動画(Grokで生成した画像を、別のAIサービスを使って動画化したもの)を投稿した。 その内容は、実在する存命中の人物と、その人物と関係が深い故人のツーショットを描くというもの。たとえば、ジョン・レノンとポール・マッカートニー、フレディ・マーキュリーとブライアン・メイ、ジミ・ヘンドリックスとエリック・クラプトンといった人々のツーショットが生成されている。 恐らくChoiは、一目で「現実の写真のように見えるがありえない画像」と分かるものを生成したかったのだろう。確かにこれらの投稿に対しては、称賛の声も見られる。しかし故人を勝手に、エモーショナルに描くという姿勢に対して、批判の声が殺到した。 特に物議をかもしたのが、ダイアナ妃と彼女の息子であるウィリアム王子、ヘンリー王子それぞれとのツーショット画像だ。 悲劇的な死を遂げたダイアナ妃と、成長した現在の王子たちの姿を描くというのは感動的かもしれない。しかしまったくの部外者が勝手に故人の姿を描き、感動というストーリーを載せることに非倫理的なものを感じる人も多かったのである。 4. Princess Diana & Prince Harry pic.twitter.com/SrAKE454gA ― Min Choi (@minchoi) December 15, 2024 AIの力を借りて、既に亡くなった人物を「復活」させるという試みは、既にさまざまな形で行われるようになっている。遺族の悲しみを癒す、追悼用のサービスとしてそれを行っている企業も少なくない。ただ今回のように、その経緯や結果をめぐって騒動が起きるというケースも珍しいものではなくなっている。