ANAの787-10国際線仕様初号機（手前）と787-8。標準型の787-8よりも11.6メートル長い＝19年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　全日本空輸（ANA/NH）を傘下に持つANAホールディングス（ANAHD、9202）は、ボーイング787型機の中で最大サイズとなる787-10の国内線仕様機を初受領した。初号機（登録記号JA981A）は現地時間3月18日に米サウスカロライナ州のノースチャールストンを出発し、ロサンゼルスなどを経由して週内にも羽田空港へ到着する見通し。初便は27日の羽田発札幌（新千歳）行きNH59便で、その後は那覇、福岡、伊丹の順で就航を計画している。 【写真】シートは787-9新仕様機と同じ落ち着いた客室 ◆最大の787は429席 　787は標準型の787-8、長胴型の787-9、超長胴型の787-10の3機種で構成され、787-10は胴体がもっとも長い。全長は68.3メートルで、787-8（56.7メートル）と比べて11.6メートル、787-9（62.8メートル）より5.5メートル長く、置き換え対象となる大型機の777-200/-200ERと比べると4.3メートル長い。設計と部品は787-9と95％共通しており、787のローンチカスタマーであるANAは、3機種すべてを運航している。 　787-10国内線仕様機の座席数は2クラス429席で、プレミアムクラス28席、普通席401席。シートは2021年12月9日に就航した787-9の国内線新仕様機（2クラス375席：プレミアムクラス28席、普通席347席）と同じ。エンジンも新仕様機と同じGE製GEnx-1Bで、普通席が54席増えた機材と言える。 　ANAの国内線予約画面で表示される機材名は787-10が「78K」、787-9の新仕様は「78G」となっている。 ◆エンジンはGEnxに 　ANAHDは、2020年2月に787を最大20機追加発注したと発表。確定発注は超長胴型の787-10が11機、長胴型の787-9が4機の計15機で、このほかに5機の787-9をオプション発注（仮発注）した。787-10は国内線、787-9は国際線に投入する。 　エンジンはANAの787では初めてGEnx-1Bを選定。追加発注分はすべて同じエンジンとなり、787-9の国内線新仕様機（78G）がANAで初めてGEnxを搭載した787となった。 　日本初導入の787-10は、2019年4月に就航したANAの国際線仕様機で、ロールス・ロイス製エンジンのトレント1000を搭載。全3機を東南アジア路線を中心に投入している。 　787-10の国内線仕様機は、当初2023年秋の導入を計画していたが、ボーイングで787の納入遅延が発生しており、引き渡しが遅れている。今年1月末時点では、初号機と2号機を2月下旬に、3号機と4号機を3月末までに受領し、777-200ERの置き換えを始める計画だったが、約1カ月遅れで引き渡しが始まった。