横浜DeNAの球団初のCS出場の背景に革新的経営力
ラインナップを見ても、1番の桑原は、横浜DeNA元年のルーキー(ドラフト会議はDeNAがTBSから経営権を譲渡される前に行われている)、宮崎は4年目、ショートに定着してブレイクした倉本は2年目、開幕マスクをかぶる抜擢を受けた戸柱もルーキーだ。中日の落合GMが狙っていたという即戦力捕手に目をつけた横浜DeNAのスカウト陣の眼力の賜物。先発ローテーションを守った両左腕の今永、石田は、2015年のドラ1、2014年のドラ2で、2014年のドラ1の山崎がストッパーの座を守り、いずれもこの2年の上位指名の即戦力投手が成功している。井納にしても、実質、横浜DeNAのドラフト初年度の3位だ。 またロペスにしても、早々と2018年までの契約を結ぶなど、編成の動きに隙はない。成功、失敗は別にして、シーズン途中に新外国人のロマックが通用しないと判断するとエリアン、中継ぎ強化にザガースキーを獲得するなど、醸造ビールで稼いだ“ビールマネー”を、どんどん補強に回すという余裕も生まれてきた。 経営の成功をチームの補強に還元、しいては、それが、ファンへの還元になるというスポーツエンテイテメントビジネスの基本を守る好循環である。その好循環が、組織間に生まれ、結果につながってくると、フロントと現場の信頼関係も高まってくる。 「いい流れになっているとは思います。もはやファンの方々に“ベイスボール”“横浜クリニック”と残念がられてきたような野球はやっていません。上位と肩を並べるくらいのラインには来ています」 池田社長は、こうも語っていた。 今年は、スタジアムのTOB元年。次から次へと球界初の試みを実現してきた池田社長は、もちろん新たな仕掛けを準備している。次の目標はCS突破、来年は、今年の土台を下地に優勝を狙う。革新的な経営力に支えられた横浜DeNAの黄金時代は、ここからスタートするのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)