桁違いの有権者!「世界最大の選挙」実施中のインドは日本とどう付き合うのか カレーとヨガだけじゃない、ジョージ駐日大使に聞いた新経済大国の行方
人口が14億人を超え、中国を抜いて世界一になったインド。4~6月実施の総選挙は投票日が7回に分けられ、9億7千万人もの有権者が票を投じることから「世界最大の選挙」とも言われる。人口増も追い風となり、モディ政権の2期10年で国内総生産(GDP)の規模は10位から5位に浮上し、4位の日本に迫ってきた。好むと好まざるとにかかわらず、無視できない存在になっていることは間違いない。 【写真】寄贈のガンジー像、設置巡り波紋 「景観乱す」住民反発
こうした数字のスケールの大きさばかりでなく、カレーにヨガ、映画と、インド発の文化はじわじわと私たちの身の回りに浸透してきている。存在感を増す「新経済大国」は、日本とどのような関係を築いていこうとしているのか。インドのシビ・ジョージ駐日大使に聞いた。(共同通信=岩橋拓郎) ▽目標も壮大 4月4日、共同通信との単独会見の冒頭でジョージ氏が強調したのは、日本とインドの経済協力関係をさらに深めるための野心的な目標だった。 「今、インドに進出している日系企業は約1500社あります。つまり1500のサクセスストーリーがあるということです。今後数年間で1万5千社に増やしたいと思っています」 そのために、在日インド大使館は昨年、日本の中小企業進出を支援する部署「中小企業促進室」を設けた。相談に応じる体制を整え、インドビジネスに関する規制や市場の情報などを提供する。 インドと聞けば、貧困と混沌、喧騒を想像する人が多いかもしれない。だが、ジョージ氏は「インドのGDP成長率は毎年7%台で、デジタル分野も含めたインフラ整備を進めている。最も急速に成長している国であり、インドは変わったのです」とアピールする。
自身も積極的に〝セールス〟に動いている。これまでに47都道府県のうち40を訪問し、知事や市長、企業関係者らと意見を交わしてきたという。「あらゆる自治体から企業の代表団がインドを訪問しています。半導体を含めたさまざまな分野で機運をつかむことができるでしょう」と語り、インドは「チャンスの国」だと表現した。 これまでにも日本との連携は進んでおり、現在建設中のインド西部アーメダバードと商都ムンバイの約500キロを結ぶ高速鉄道には、日本の新幹線技術を導入する。ジョージ氏はこれらの経済協力もてこに、インド独立から100年となる2047年までに「先進国入りする」との目標も打ち上げた。 ▽世界最大の選択 インドの経済成長は、2014年に発足したモディ政権が主導してきた。経済政策の柱の一つは、「Make in India(メーク・イン・インディア=インドで物をつくろう)」と呼ばれる。世界中から投資を呼び込み、自国の製造業を振興しようとする政策で、雇用創出や輸出拡大も狙う。4月17日から始まった下院(定数545)総選挙の焦点は、モディ政権2期10年の評価だ。