「絶対に食いっぱぐれることのない」組織になる方法とは?
ビジネスパーソンであれ、企業組織であれ、ビジネスでは「一回切り」「たまたま」「まぐれ」の成功は通用しない。顧客が欲するサービス・商品を「継続的に」「必然的に」「狙い通りに」提供し続けて、初めて「仕事」といえる。つまり、仕事とは「人の心を捉え続けること」であり、それを実現するために必要なのは、顧客の「真のニーズ」を的確に捉えるためのマインドセットと仕組みづくりだ。本連載は、『いつでも、どこでも、何度でも卓越した成果をあげる 再現性の塊』(田尻望著/かんき出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。キーエンス出身の経営コンサルタントが体系化した「ニーズの捉え方」の考え方とノウハウの一端を紹介する。 価値主義経営の構造 第5回は、営業・販売促進・商品企画・開発の各部署が役割分担して、組織全体で「ニーズの裏のニーズ」を追求する仕組みについて解説する。 ■ 組織全体で「ニーズの裏のニーズ」を追う仕組み それぞれの従業員が、バラバラに「ニーズの裏のニーズ」を追うのではなく、「組織体」として追う仕組みを今からお伝えしていきます。 みなさんは、「営業」「販売促進」「商品企画」「開発」は別々の部署として認識されていると思いますが、それぞれのやり方で、お客様の「ニーズの裏のニーズ」を追い続けることができるのです。 営業という組織は、お客様が欲している「ニーズの裏のニーズ」を一番近くで追うべき役割です。 ですから、「この会社はなぜ欲しているのか」というポイントを「虫の目」のように細かに見ることができます。 だからこそ、営業としては、新たな課題やお客様のニーズを、他の役割(販売促進、商品企画、開発)に一定周期(月に一度ほど)でフィードバックするべきなのです。 フィードバックの内容は、商品企画、販売促進、開発などの関係者が読み、次の商品や新しい市場へのアプローチの示唆を得ます。 営業が直接お客様の課題を聞いてニーズカードに書き、本部がそれを理解し、活用する商品企画の仕組みが大事だという考え方から、キーエンスでは創業のときから直販システムを構築していたのだと思います。 この仕組みによって、顧客の「ニーズの裏のニーズ」を本社に上げることが可能になります。 販売促進では、「マイクロマーケティング」と呼ぶのが適切なほど細かなマーケティングを実践することが求められます。 営業の成功事例、競合打破事例、競合に負けた事例、これまで取れなかったお客様を取ってきた事例、それらを「ニーズカード」や営業実績から吸い上げて、「なぜ売れているのか」「なぜ競合に負けたのか」を分析し、お客様が買っている理由を営業メンバーに横展開するのです。