「あぁ!ここにあった!」がれきから酒米…被災した杜氏が“コラボ日本酒”で見せた復活への意地
二見さんは、自らも珠洲市の自宅が被災するなか、「造りたい酒を造ればいい」と中島さんの背中を押します。中島さんとの打ち合わせでも「資料はいつでも見れるので。ウチは全然隠すものはないので」と声を掛けます。 こうして多くの人に支えられながら、輪島に古くから伝わる中島酒造店ブランド「能登末廣」が完成。能登の杜氏が、加賀の水で手掛けた新酒は、ラベルのデザインも一新しました。 地震から3か月が経った今月。完成した「能登末廣」とは違った別の酒造りに向けて、2つの酒蔵は新たな仕掛けを打ち合わせていました。 東 社長「うちら二人でしかできない商品やね。コラボして…商品開発して一緒に作り上げたというお酒だから」 中島さん「すごい楽しみ…」 2人の杜氏が培った技を惜しみなくつぎ込んだ、新たなブランドの地酒です。東酒造でもない、中島酒造店でもない新たな試み。空白のラベルが貼られたその名も「名前のない日本酒」でした。 中島遼太郎さん「シリアルナンバーがラベルに1、2、3って入る。全部ラベルのちぎられ方というのが全部違う、手でちぎって貼る、みたいな。一個一個同じものがない形で出てきます」 東祐輔 社長「中島酒造店さんを全国に知ってもらう機会にしたいというのがホントの目的のクラウドファンディング」 2人の杜氏にとっても初の試みとなる新酒は、インターネットで広く支援金を募るクラウドファンディング限定で販売することで、中島酒造店の再建にもつなげます。タンクで発酵が進む酒を見せてもらいました。 ■「しゅわしゅわしゅわ…」タンクから聞こえる醸しの音 しゅわしゅわと小さく聞こえる音は菌による発酵が順調に進んでいる証です。 二見秀正 杜氏「香り嗅いで見る?……OK?」 中島遼太郎 さん「OK!」 搾り前ですが、辺りにはすでに華やかな香りが漂っていました。お互いの技術が融合した新たな酒は完成まであと1か月余りです。 二見秀正 杜氏「一番違うのは、ウチは香りの強い酵母を使っていなくて、遼太郎のは香りが華やかなやつ、香りのよい、甘めのお酒になると思いますね」 中島遼太郎さん「スタートは今回の能登の震災かもしれないですけど、それによって逆に…出会ったことで別の方向で前を向くというか。だから、今までやってきたこと以外の方向からも色々見れるようになりました。」
被災してなお、受け継いだ酒蔵を守り続けようとする中島さん。すべてが新たな挑戦ですが、希望を持ち続けます。
北陸放送